たいてぃー

アイネクライネナハトムジークのたいてぃーのレビュー・感想・評価

3.7
原作者、監督それぞれに独特な「ワールド」を持つ。本作では、どちらが色濃く出てたのか?
原作は未読。ボクシングが出てくる。スポーツに奇跡を絡ませるってことでは、「ポテチ」が浮かんだ。中村義洋監督で映画化もされている。伊坂•中村コンビは多くの良作あり、「ポテチ」もその一つ。
本作の監督は今泉力哉。男女間の微妙な関係を描くのが上手い。特に片思い。前作の「愛がなんだ」は、ロングランヒット、でも何でこれが受けるんだろうって、未だに疑問ではあるが。本作は、音楽に斎藤和義、脚本に鈴木謙一で、最強の布陣。
刺激的な恋愛シーンは殆どないが、主人公二人の絡みは、ほのぼのとしていていい。バスに乗ってる多部未華子演じる紗季を追いかけて、三浦春馬演じる佐藤が追いかけるシーンが好み。追いついた後の佐藤の態度がユニークで。でも、多部未華子の弾ける演技に期待したけど、出番はさほど無くて、残念。印象的なセリフがあったぐらいか。
佐藤の友人、織田役に矢本悠馬、その娘役に恒松祐里。この親子の友達みたいな関係性がいい。娘の友人役で萩原利久、父親役に柳憂怜。この親子の関係は織田親子と違い、冷めている。だけどギャグっぽいお助け行動をそれぞれがして、心温まる。ボクシング•シーンで、選手小野と観客の青年がラウンド間に心通わす。その他にも、ほっこりするシーンは多くて。
本作は、原作者、監督の二人の「ワールド」がうまく融合しており、どちらかの「ワールド」が優るとは言えず、今回は引き分けってことで•••。