JunichiOoya

アイネクライネナハトムジークのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

3.0
前作の『愛がなんだ』ほどの興行にはならず、上映回数が減っていって見逃しかけてた映画に、「ひょんなきっかけで出逢う」ことができました。

岸井ゆきのと成田凌の会話があざといくらいにリアルだったのに比べて、今回はおそらく意図的にリアルから乖離した会話で繋がった物語。拳闘も難聴も、そして何より10年の時間の移ろいも、全て皮相的でリアルからは遠く離れる、おそらくは意図的に。この辺りは流石にさらっと受け入れるのはしんどかった。

もちろん今泉さんは『サッドティー』にしろ『パンバス』にしろ現実を表現するためにわざわざ非現実的会話を紡ぐ方だから、逆にいえば『愛がなんだ』が異例の作風だったのかもしれない。(だからこそダントツの動員だった?)

で、その「非現実感」が見る対象の設定(年齢層?)にも影響したのかしら。少なくとも前作より若い層向けの表現かな、と感じた。

「出逢いの意味」を探す登場人物たちは押し並べて若く幼い。はい、ネプチューンの人も含めてね。皆、一様に真面目だけれど、強かさに弱みがある。
そのことたちを否定するものではないけれど、一人の顔を上下前後左右から繰り返し描写するばかりで、別の人の顔も見たかったという気持ちです。
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