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この道のskm818のレビュー・感想・評価

この道(2018年製作の映画)
3.7
どうかなあと思いながら見に行ったが、思っていたよりはよかった。ただ前半はエピソードを細切れにつないでいく感じで落ち着かない。そもそも桐の花事件描く必要ある? 白秋さんのダメっぷりや与謝野夫妻、鈴木三重吉などとのつながりを見せたかったんだろうけど… しかもそこからいきなり大正半ばに飛んで、2番目の奥さん出ても来ないし、「赤い鳥」との関係もセリフで出てくるだけ。何のために三重吉出してるんだよお(単なる橋渡し役としてしか使われておらず残念)。後半は山田耕筰との関係や戦時に軍歌の依頼を受ける話などがメインで、それなりにまとまっているが、白秋さんが軍部と関わるに至った要因が家族のためというような持って行きかたは正直嫌だった。ほんとにそんなやりとりあったのかな。そうでなければ主人公にまずい事をさせるのに妻が都合よく使われている案件。ダメ男として描きながら、政治的な部分については心ならずもというところを強調していて、かなりモヤモヤする。時代背景の書き込みも甘いような。とりあえず、蝶々の歌がドイツの曲だということと、勝ってくるぞと勇ましくの歌が白秋作詞だということがわかった。あとやっぱ詩集の出版祝賀会に啄木は出ていないのでは?とか、中途半端に史実を知っているのでひっかかるなあ。前半に多かったことさらに笑わせようとする演出もどうなのか。そこでは笑えないんだけど、それ以外のところで鼻で笑ったり「けっ」と言いたくなるところがけっこうあったなあ。大森南朋の白秋は良かったし、松重豊や羽田美智子もさすが。AKIRAはまあまあ。今の特殊メイク技術すごいなと思った。晶子さんに関しては、自分もこんな風に年下にきちんと説教できる人になれたらいいなあとは思った。
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