ジョジー

家へ帰ろうのジョジーのレビュー・感想・評価

家へ帰ろう(2017年製作の映画)
4.3
ブエノスアイレス、子どもたちや孫に囲まれ集合写真を撮るユダヤ人のアブラハム。幸せそうな写真とは裏腹に長年住み慣れた家を引き払い老人ホームへ入ることになってて…。
部屋の整理で1着のスーツが見つかり、アブラハムはその夜思い立ったように荷物をまとめ家出を決行! 第二次世界大戦中、彼を匿ってくれた命の恩人である親友に、最後に仕立てたスーツを渡すために。
旅の途中、思わぬ災難に遭ってしまうものの、行く先々で出会った人たちに助けられます。何だか血の繋がった家族よりも、温かいものを感じたなぁ。
飛行機の中で出会った若者を助けたり、助けられたり。そして、マドリッドで宿泊するホテルで出会った女性との楽しい会話に思わず微笑んでしまいます。
マドリッドから列車でポーランドへ行くためには、ドイツを通るしかないのですが、アブラハムは「ユダヤ人がドイツを通ることはできない!」と、お手上げ状態。
そこへ通りかかった人類学者のドイツ人女性が力を貸してくれることになり、最初は拒絶していたアブラハムですが、少しずつ気持ちに変化が表れてきます。何とか列車に乗り込む彼。無事に故郷の地を踏むことができるのか…

88歳のおじちゃんのロードムービーなんですが、旅先で出会う人たちの優しさにほろりとさせられます。アブラハムがどうしてそれ程頑なに故郷を訪れることをしなかったのか、ドイツは尚のこと、ポーランドという言葉さえ口にすることができなかったのか。
物語が進むにつれ、列車の音とともにアブラハムの思いが胸にずんずんと響いてきて、自然と涙がこぼれました。テーマは重いんですが、ウィットに富ん会話も楽しめて、思わずぷっと吹きだしそうなシーンもあります。
「本当は怖い、彼に会うことも、会えないことも…」 70年ぶりの奇跡の再会を果たすことはできるのか? ラスト近くは涙が溢れて止まりませんでした。
人の心に寄り添うことの大切さを改めて感じさせてくれます。そして、戦争の傷跡を風化させることなく、この映画を観る人一人ひとりが何かを感じとれるはず。とてもいい映画でした。