ユダヤ人のおじいちゃんは70年前に受けた残虐な仕打ちに今も苦しめられていて、でも70年かかっていま向き合う勇気が出せたんだと思うとね、もうね、その姿に心を打たれた。
いわゆる拷問の直接的な描写はないし、ホロコーストの頃の回想シーンの比率が多いわけでもなかった。でも辛い。おじいちゃんの口から語られるその頃の話は、どれも伝聞じゃなくて直接「この目で見た」記憶。歴史的にはひとつの大きな出来事だけど、その中に何万何億っていう悲しい出来事、それも筆舌し難いような事があったんだろうと思うと苦しくなる。過去の出来事じゃない、苦しみはずっと続いている。
娘たちとの関係は良くないけど、かつて突然無償の愛を受け取る権利を失い、無償の愛を注ぐこともできなくなった彼だからこそ、守ることに精一杯で関わり方も不器用になってしまった部分もあるんじゃないかと思った。
最後のシーン、良かったなあ。
