イチロー51

家へ帰ろうのイチロー51のレビュー・感想・評価

家へ帰ろう(2017年製作の映画)
3.8
アルゼンチンに住む男性が、70年以上会っていないポーランドの親友に最後に仕立てたスーツを渡そうと思い立ち、会いに行く様子を描いた。様々な困難が待ち受けるが、旅の途中で出会う人々に助けられながら目的地を目指す主人公の姿が映し出される。

本作もホロコースト映画と言うのだろうか、上質な人情とユーモアのあるロードムービーになっているが、語られるものはとても重い。
妹のこと、父のこと…「聞いたわけではない、この目で見たことだ」と言う言葉の重さが心に響く。
アブラハムのドイツを通らずにポーランドへ行きたいという思いが当然であると理解出来る。

アルゼンチンからマドリッド、列車でパリへ、そしてポーランドへ!
マドリッドのホテルの女性、パリで出会ったドイツ人の女性、ワルシャワの看護師、3人とも面倒見が良い女性で、"こんな都合のいい話があるのか?"と思いましたが、この作品には無くてはならない3人の優しさなのです。
ドイツ人の謝罪の気持ちもさりげなく語られます。

原題は「The last suit」、邦題が何故「家に帰ろう」なのか?
ラストを観ると分かります。
感動的なラストです。
地味な映画ですが、とても良く練られた脚本、俳優の名演、哀愁を帯びた心地良い音楽、味わい深い作品です!