家へ帰ろうの作品情報・感想・評価

「家へ帰ろう」に投稿された感想・評価

開明獣

開明獣の感想・評価

4.7
ロードムービー。戦争の爪痕。国境を越えた友情。どんな言葉で表しても陳腐になる気がする。

アルゼンチンで仕立て屋を営んでいたアブラハムは、子供達に財産を分けて老人ホームに入ることにする。アブラハムの足には、数桁の数字の刺青が入っている。70年の歳月をもってしても癒えぬ傷がある。だが、70年の歳月と、新たな人との交わりは、積年の怨恨に惜別をもたらすことがある。

アブラハムを演じた老名優の名演技を観るだけでも、劇場に足を運ぶ価値がある。本筋とは全く関係ないけれど、この齢80を超えた老人のお洒落なこと!!ブリックカラーのシングルの背広に、アスコットタイを粋に決めてくれる。薄青のシャツには、スカイブルーのペイズリーのアスコットタイにアクアブルーのコーデュロイのハンチングで、足元は茶のコンビのウイングチップ。この上ない洒脱な着こなしには脱帽の一言。

アブラハムを応援していて、気がつけば逆に観てるこちらが応援して貰っている。そんな作品で、気持ちのいいカタルシスが我々の疲れて汚れた日常を浄化してくれる。

斬新な演出でも、突出したストーリーでもないけれど、人に薦めたくなる作品。誰かに語りたくなる作品。巡り会えて幸せになる作品。

観終わって外に出ると冬の銀座の街は、金曜の夕方の賑わいを見せていた。上着のポケットに手を突っ込んで歩き出すと、少しだけ優しい気持ちになれた気がした。気のせいでも嬉しかった。
何気なく観たけど、思いのほか奥が深い物語でした(^-^)
最後は、じ~~んと胸が熱くなった!!
クソジジイなのに粋って最高なキャラだ、老いを受け入れていく話かな、なんて軽い気持ちで楽しんでいたら、アルゼンチンで暮らすユダヤ系ポーランド人の主人公が、壊死した脚で、70年前に助けてくれた友人に会いに行くのだという、この上なく切ない背景を知っていくうちに、徐々に胸が締め付けられていった。

クソジジイの話す「聞いた話じゃない。この目で見たんだ」と語るシーンが真に迫っていて圧倒される。

列車の中での幻覚はちょっとありきたりかな。
ささぴ

ささぴの感想・評価

4.5
人間らしい描写がたくさん。死ぬってなんだろうなあと考えた。自分はまだまだ生きているつもりだったけど、いつ死ぬのかなんてわからない
m

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3.8
スペイン語で最初感情移入しにくいかなと思ったけどステキなシーンばかりだった。
TSUTAYAで目に入って、なんとなく手に取った作品。

久しぶりにいい映画を観たなって思った。
NN

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3.5
単純で簡単な映画だなという印象はうけたが、流石に最後は泣いてしまった…良かった。
ひかり

ひかりの感想・評価

3.4
ホームでつらつらと過去を語るシーンと、最後のシーンがよかった。
ラストシーンでリアルに泣きました。
最近は、原題に無いナチスやヒトラーの名前を邦題に盛り込んだ映画が結構多くて、それらのフレーズがある種の売り文句みたいになっている風潮に疑問を感じていた。誰もが認める絶対悪、だから被害者は絶対に可哀想で、、、、それは間違いではないのかもしれないけど、映画を観て何かを感じ考えるという、とても大事な部分を単純化されたような気がして、僕はあまり歓迎できないのだ。

本作はホロコーストから脱出した仕立て屋の男性が、当時の恩人である同郷の老人にスーツを届けに行く様子を描いたロードムービーである。70年ぶりの再会となるが、老人は何のあてもなく旅に出る。題材的には先に書いたようにナチスやヒトラーを含む邦題を付けられそうな内容であるが、敢えてそれをしなかったのは好感が持てる。

老人はとても頑固で「ドイツ」はもちろん「ポーランド」の名前も口にしない。そんな彼を手助けするのは、旅先で出会う女性達。彼女達と触れ合う事で、老人の心が少しずつ解放されていく。

ユダヤ人の老人を主人公に置きつつ、彼に対して周囲の人間がどう接していくのかを優しいタッチで描き出しているのが素晴らしい。最近の日本でも、主に高齢層の嫌韓ムードが取り沙汰されている一方で、若い世代の間ではK-POPや韓流メイクが大流行。育ってきた環境や教育によって思想には隔たりが生まれてしまうのだが、じゃあ僕達はどうやって違う世代と交流していけば良いのだろう? 本作はナチスやヒトラーの問題だけではない、人と人との交流を描いた作品なのだと思う。
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