家へ帰ろうの作品情報・感想・評価

「家へ帰ろう」に投稿された感想・評価

motio

motioの感想・評価

4.2
スペインとアルゼンチンの合作。
アルゼンチンに住む88才の仕立て屋のじいさんがホロコーストから逃れる時に助けてくれた親友に会うため単身ポーランドに向かう。
70年の時を経た約束は、果たされるのだろうか。

じいさんのロードムービーに弱いので当然のように感動して落涙しました。
登場する女性達が皆一様に心優しくて90分ほどの中に様々なテーマが盛り込まれているので、若干の作られた感を感じたりしましたが、まだまだ世の中捨てたもんじゃないと思える映画です。

好きだったのは、飛行機で会った青年にみせる多面的な人間性で、したたかな憎らしさと根にある優しさが老害とかいう切り捨て言葉とは対極な暖かい社会を感じさせてくれました。


以下ネタバレ

ストーリー的に、観ていて自然な流れの結末なのでネタバレもなにもないのですが、ラストシーンの演技がちょっとすごいので、どうしても触れておきたいです。
再会を果たした時のあの表情! 驚きや戸惑い、疑念や喜びすべてをものの見事に表した視線の交錯。本当に名シーンでした。
torina

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3.5
人生を振り返って最後に、死ぬ前に絶対にやらなきゃいけなかったこと
それをやり遂げるじいさん、すごいよ。
カツマ

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3.8
彼は一人でも孤独じゃなかった。家族と別れ、片道切符を握り締め、故郷へと帰る一人の老人。だが、そんな彼に訪れる数々の出会い、新たな別れ。終着駅は遥か遠く、ボロボロの脚を引きずりながら彼は行く。70年の時を越え、時空の彼方へと置き去りにしたあの日々が、彼の脳裏で何度も蘇っては消えていった。悲しみの歴史の先に大切な親友が待っていると信じて・・。

アルゼンチンから始まり、スペイン、フランス、ドイツ、そしてポーランドへと至る頑固なお爺ちゃんによる破天荒なロードムービー!ナチスドイツの爪痕を随所に感じさせながら、その根深さと、いつまでも終わることのない悲しみが根底には横たわっている。そんな闇から抜け出してきた主人公だが、なかなかパワフルなお爺ちゃんなので、物語にさほど重さはなく、お爺ちゃんの背中を押しながら見ているような気持ちにさせてくれる作品でした。

〜あらすじ〜

ブエノスアイレスに住む88歳の仕立て屋のアブラハムは、長年患ってきた脚の具合が悪化し、ついには足を切断しなければならなくなった。それと共に娘たちには老人ホームに入れられることになり、アブラハムの虫の居所は悪かった。だが、彼は最後に仕立てたスーツを見てふと、旅立つことを思い立つ。それは70年前、ホロコーストにより死にかけた彼の命を救ったかつての親友に会いに行くため。遥か遠くポーランドを目指して、アブラハムは飛行機に乗り込み、まずはスペインへと降り立った。飛行機内で出会った青年となんやかんやありながらも仲良くなったり、ホステルの女主人と交流したりして、アブラハムの旅の始まりは順調に思えたが、外出中にホステルに置いておいた有り金を全て盗まれるという災難に遭ってしまい・・。

〜見どころと感想〜

このアブラハムというお爺さんが何とも曲者で、とてもずる賢く、捻くれていて、しかもとても優しいという粋なキャラクターの持ち主。仕立て屋であるため彼のスーツはいつでもバシッと決まっており、それもあってか次から次へと魅力的な女性たちが現れては彼の旅先を華やかに彩っていた。特に宿の女主人はかのスペインの名優アンヘラ・モリーナ。ムスメと仲直りできないアブラハムを厳しく諭す凛とした強さはとても魅力的だった。

アルゼンチン、スペイン、フランスまでは比較的牧歌的な旅路だが、ドイツに入ると物語は重さを増し、かつての怨念がアブラハムに襲いかかってくる。そんな彼を支えたのは命の恩人である親友との記憶だった。何度か差し込まれる回想シーンは優しいメロディに乗りながらも、風と共に舞うように懐かしい日々を連れてくる。想い出の中にあるその優しさが彼の重い足取りを一歩、また一歩と確かに前に進めていった。きっと待っている、最高のラストシーンに向かって、人生最後の『ただいま』を言うために。

〜あとがき〜

頑固爺さんのほのぼのロードムービーかと思いきやそうではなくて、ホロコーストによる負の歴史を現代にまで繋げるバトンのような役割を果たしている作品でした。しかし、頑固爺さんを取り巻くのは美しい女性たちだったりするので、画面の上は常に華やか。新しい登場人物が次々と登場してくるのもまるで人生の縮図のように出会いと別れの連続でした。

最後にはきっと感動が待っている。この映画はその名の通り、『家(うち)に帰る』までを描いた物語でした。
momo

momoの感想・評価

3.9
最後良かったなぁ
Kazuma

Kazumaの感想・評価

2.8

このレビューはネタバレを含みます

仕立て屋の88歳の老人アブラハムは、実の娘たちから家を売り老人ホームへ入るように、促されますが、家をでて戦後の友人の約束で最後に友人のスーツを届ける為に今まで住んでた、アルゼンチンから、友人の住んでるポーランドへ行く、
ロードムービー。

この映画のよいとこは、旅先で困ってる主人公アブラハムは過去にドイツ人に親と妹を戦後ドイツ人に殺害されたというトラウマにあって、途中ドイツの某駅でドイツに足をつけたくないから、
ドイツを飛ばして行く方法をという徹底ぶり、
そんな中、ドイツ人の女性に話かけられ、
最初は嫌ってたはずなのに、話かけられるうちに、助けられて、アルバハムの閉ざされた心も、
ドイツに足を地に踏み一瞬だけど、うち解けるとこかな、他に旅先で出会う人々が温かくアルベルトを優しく導いてくれてるみたいで友人に出会うまで、助け船的な役割で、ほっこり鑑賞しました。

ラストシーン何十年ぶりなのに、
顔を窓越しから確かめるように、再開するシーンは、じ〜んときてちょっとポロっと涙でそうになりました。良き作品でした。

このレビューはネタバレを含みます

ナチスドイツによって父、母、兄、妹、すべての家族を奪われた男の晩年。かつての友人との約束を果たすため、70年にわたって忌避しつづけていた故郷ポーランドへとひとり旅立つ。

描かれるのは、当時の苛烈な暴力の現場ではない。喪失とそのトラウマによって生きることもままならないような、凄惨なる半生でもない。

1945年を境に遠くアルゼンチンへと渡り、服職人として身を立て、多くの子、孫に恵まれた。右足を病みながらも老齢になるまで生き延びて、彼・彼女らにいくばくかの財産を遺すことができた。“以後”の日々で、そのような平凡な日常を築くことができた男の、それでもなお胸のうちに残りつづける屈託をこそ、この映画は細やかに描く。

パリからポーランドまで向かう途上で「1m、1cm足りともドイツを通りたくない」と駅の事務員に詰め寄り、またやむを得ずワルシャワで乗り継ぎをする際には「決して地を踏みたくない」と駅のホームに衣服を敷かせ道を作らせまでする、滑稽なほどの頑なさ。

「死の行進」によって不随になった右足に「ツーレス」と名付けて相棒と呼ぶ、その皮肉めいたユーモア。

男のそうしたパーソナリティを、娘たちは疎み、町のひとびとは失笑する。しかし、“そのように生きることでしか正気を保ち得なかった”ことは、男のなかでいまなお熱を持って血を流しつづける、その傷の深さが裏付ける。

「どのように生きたのか、いつか必ず報告しにくる」

別れの際に友人と交わしたその約束は、70年の時を隔てて果たされた。悲嘆に倒れるのではなく、悲嘆を忘れるのでも、克服するのでもない。悲嘆を抱えながらつづけた70年の歩みを、男は再会した友へと報告する。

男は自らで仕立てた“最後のスーツ”を、友人に贈る。言葉では伝え得ない、家族とすら分かち合えなかったままならない思いを、その一着にこめる。スーツは、映画の終わる最後の瞬間まで、黒いスーツカバーに包まれたままだ。“アズール(青)”だというそのスーツの色を、観客が目にすることはない。ただ二人の男たちだけが知る。
knjmytn

knjmytnの感想・評価

4.5
仕立屋の爺さん、アブラハム。
自らの人生の終着が見えたとき、それまで抱え続け、果たせずにいた約束をかなえるために衝動的に旅に出る。
その生きることの輝きがかっこいい。

命を救ってくれた友に、その救われた命でどんな人生を歩んできたかを伝えるために最後のスーツを届ける。
映画全体のトーンも丁寧に仕立てられたスーツみたいに上質でオシャレで美しかった。

旅先で出会う様々な人々。
そして徐々に明らかになるアブラハムの過去。
ロードムービーなんだけど、アブラハムのもつ独特の雰囲気がすごく良い。まじで頑固ジジイ。でもスーツの着こなしは最高におしゃれ。カバンもかわいいし。ユーモアもあって、なにより愛情の深さがところどころに垣間見える。ただの頑固じゃない。

俯瞰的にポーランド侵攻の歴史やホロコーストを知ることはできても、その数や出来事のリアリティを実感するのは難しい。現代の設定で、こういう映画がつくられる意義も強く感じられた。
戦争によって生みだされる、あまりに悲しい出来事が何百万とあることが実感できる。たとえフィクションであったとしても。

なにより、そういうことを抜きにしても十分良い映画。観てよかった。最後のスーツの見せ方の演出もお見事。
Rebel

Rebelの感想・評価

3.3
仕立て屋のアブラハムが恩人のためにスーツを届けるまでのお話。

実の娘たちからは見放されたアブラハムがまったく血の繋がりのない女性たちに支えられながら、旅する姿はどこか切ない。

93分と短い映画だが、ナチスのホロコーストの悲劇を重厚に描いており、見ごたえはあった。

大体、原題と邦題がマッチしていないケースが多いのだが、本作は邦題が重要な伏線かもしれない。

退屈で途中何度も眠くなったが…
ポーランドにいたユダヤ人の主人公は、戦後、アルゼンチンに行った。
そこでそれなりの生活をし、老人ホームに入ることが決まって、これはどうするんですか?と尋ねられたスーツがあったことを思い出す。
それを届けに名前も口に出したくないポーランドの友人のところに娘たちに内緒で行くことにする。
飛行機に乗り、スペイン。
そこで有り金盗られて、音信不通だった娘に会い、お金を借り、パリ。
そして通りたくなかったドイツを通り、ワルシャワへ。
途中、倒れて入院もしたが、その看護師にお願いして、昔の自分の家のあったところへ連れていってもらう。

友人はそこにいるのか?
いないのか?
死んでいるのか?
観ているこちらもドキドキ。

家に帰った~
もう他には行かない。
ここが家だったんだから。
嫌なこともたくさんあった。
でもこの友人だけに会えば、もうそれでいい。

残っているものなのだね。
石造り(コンクリート?)の家は。

じんわりとする映画だった。
頑固な偏屈ジジイ かと思ってたらナチスによるホロコーストの被害者。家族の命をナチスに奪われ 自身も生きるか死ぬかの壮絶な体験をしている。そんな彼が当時唯一信頼し親友と呼べる存在だった男に70年振りに逢いに行く。ブエノスアイレスからポーランドへ。途中絶対に足を踏み入れたくない憎きドイツを経由する。そんな中でも3人の心温かい女性たちに出会い 長年凍りつかせガチガチに固まっていた心が融解していく。

「反戦もの」とか「史実に基づいた 」とかそういう類の映画ではなく 未来を見据えているような希望の兆しが見えるような作品でした✨😌✨
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