しちれゆ

ともしびのしちれゆのレビュー・感想・評価

ともしび(2017年製作の映画)
3.7
『さざなみ』(2015)が良かったので見たかった作品

長年連れ添った夫が小児性愛の罪で収監され、多分そのせいで息子にも縁を切られているアンナ。孫の誕生日に「あなた(息子)が小さい頃よく作ったケーキを持って行くわ」と大きなケーキとプレゼントを持って訪ねても門前払いされる。地下鉄では若い人の痴話喧嘩や好き勝手な振舞いを見て切実な自分の老いと孤独を感じる。深い地下鉄への階段をひたすら降りていくアンナの長回し、列車がホームに入って来る音。アンナ!と思ったけれど彼女は列車に乗り込んだ(ホッ…)。浜に打ち上げられて無惨な姿を晒している鯨をわざわざ見に行くアンナは自らを鯨に重ね合わせていたのだと思う。
綻びを見せない人は強く見えてもその実 人一倍踏ん張っている。人に頼ることを非とし心を開く術を知らないのだ。ほぼ笑わないアンナをずっと見ているのが辛かった。シャーロット・ランプリングが70代の裸身を晒していて潔い。
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