女優さんの「老い」がそのまま描かれることで
映画が生きるって
彼女らがそれを受け入れて、今を生きているからこその作品なんだと思う。
知的な彼女の
茫洋とさまよううつろな感じ
いろいろあっても夫婦として過ごした日々があり
それなりに保障されていた老後の生活が
指の隙間から堕ちていくのと同様に
夫への感情も抜け落ちていくんだろうと
あのしみだらけの背中を手でさする、描写。
夫婦でないとやらない所作。
そこには無言の信頼があったはずなのに
それが「なにもしなかった」ことにつながり
子や孫との交流を失う。
皮肉な人生のすべてがあの歩き回る彼女の姿にかさなった。
2019/2/23