ざわゾンビ

飢えた侵略者のざわゾンビのレビュー・感想・評価

飢えた侵略者(2017年製作の映画)
3.9
世界のどこであろうが猛威をふるうゾンビたち。
彼らを駆り立てるのは生物としての本能か、時代への強烈なアンチテーゼか、それとも…

とかく本作、見せ方、ウマいなぁ。
音もなく忍び寄るゾンビ。
静寂に包まれた、悲鳴の映える森林。
容赦のないゴア描写。
定番の良さ、再認識。

カナダ産。舞台はケベック。
フレンチゾンビ!?とか思ってたのもあながち間違いじゃなかった。

学が無いことを恥じてしまうほど、ごった煮で、複雑な歴史。
カナダNo.2の広大なこのケベックも多分に漏れず、80%弱がフランス語を話す。

NBAで唯一カナダに本拠地を置くトロント・ラプターズが永らく多国籍チームなのも、こういう背景があんのか…と、勉強、勉強。

閑話休題。

僕がゾンビ映画を愛して止まないのは、その社会性からである。
そして、この作品におけるゾンビは、きっとケベックにおける歴史や、現在進行形で発生している宗教間の対立の媒介となっている。

積み上げられた椅子の塔に集まるゾンビたちを見つめる男の目には、不安や、畏怖といった感情がしっかりと込められていた。

ラストも個人的には大好き。
身を守る銃を捨て、アコーディオンを担ぐ少女。
残酷やけど、彼女が向かう先に光は無い。
それ以外に道は無いんですよね、きっと。
でも、その道を行かなければ、負の連鎖は止まらない。

強烈な社会性と、映画である以上欠かすことのできないエンタメ性をしっかりと共存させた、輝かしいゾンビ映画の系譜に刻まれる、珠玉の一作でした。