ザ・ビッグハウスの作品情報・感想・評価

ザ・ビッグハウス2018年製作の映画)

The Big House

上映日:2018年06月09日

製作国:

上映時間:119分

3.8

あらすじ

ディス・イズ・ア・メ・リ・カ! 「観察映画」史上最高のスペクタクルで描かれるアメリカ合衆国の光と影。 ついに想田和弘がアメリカで観察映画を撮った。しかも舞台は、全米最大のアメリカンフットボール・スタジアム、通称“ザ・ビッグハウス”。パブリック・アイビーと称される名門ミシンガン大学が誇るウルヴァリンズの本拠地だ。収容人数は10万人以上、地元アナーバー市の総人口に迫る。 想田を含めて17…

ディス・イズ・ア・メ・リ・カ! 「観察映画」史上最高のスペクタクルで描かれるアメリカ合衆国の光と影。 ついに想田和弘がアメリカで観察映画を撮った。しかも舞台は、全米最大のアメリカンフットボール・スタジアム、通称“ザ・ビッグハウス”。パブリック・アイビーと称される名門ミシンガン大学が誇るウルヴァリンズの本拠地だ。収容人数は10万人以上、地元アナーバー市の総人口に迫る。 想田を含めて17人の映画作家たちが廻すキャメラが捉えたダイナミックなプレイ、熱狂する観衆、バックヤードで国民的スポーツを支える実に様々な人々…。それらの映像群が、想田の大胆かつ緻密なモンタージュによって、まるで巨大な生命体のように機能するスタジアムの全貌を描き出していく。 それは現代アメリカの縮図でもある。教育とスポーツとビジネスの関係。人種や階級、格差、宗教問題。台頭するナショナリズムやミリタリズム…。アメリカが誇る文化と抱える問題とが、“ザ・ビッグハウス”という小宇宙に浮かび上がる。奇しくも撮影は2016年の秋、ドナルド・トランプ大統領誕生へと至る選挙戦の最中に行われた。

「ザ・ビッグハウス」に投稿された感想・評価

自らのドキュメンタリーを「観察映画」と呼ぶ、想田和弘監督の作品を初めて観た。「観察映画」に関しては、監督自らがHPで披露している「観察映画の十戒」を参照してもらえば、わかりやすいが、要するに撮影は予断を持たず行き当たりばったり、カメラはなるべく微細な視点で、出来上がった作品にはナレーションや音楽やテロップはつけないなどのルールのもと、つくられたドキュメンタリーなのだ。

この作品は、現地の映画研究者や映像作家に招かれて、1年間、アメリカのミシガン大学に招かれたことから始まったプロジェクトらしい。全米で最大のフットボールスタジアムで行われたミシガン大学のチーム「ウルヴァリンズ」の試合を追ったドキュメンタリーだ。とは言っても、スポーツドキュメンタリーではないので、カメラは試合に向けられるのではなく、この巨大スタジアムとそれに集まる人々に向けられる。

監督を中心に17名の映画作家が撮った映像は、それこそ観客の食欲を満たすスタジアムの巨大な調理場やこの試合を支えるミシガン大学のOB会の会場などにも入り込む。それらの膨大な映像を、討論を重ねながら1本のドキュメンタリー作品にまとめるわけだが、完成した作品は、「観察映画」とはいえ、この巨大スタジアムだけでなく、その背後にはアメリカという国そのものも映し出してしまう。

この撮影が行われたのは、トランプ大統領が当選した、2016年の選挙の直前。しかも、ここミシガン州は、選挙の勝敗を分けた「ダストベルト」にあった。そういう意味でも、実にタイムリーに、いみじくもその大統領選の縮図までカメラは捉えてしまっている。「ザ・ビッグハウス」とは、この巨大フットボールスタジアムに与えられた通称らしいが、それはそのまま「アメリカ」という大きな「家」を表しているのかもしれない。
ぶぶこ

ぶぶこの感想・評価

4.0
ゼミの先輩である想田和弘さんの映画「The Big House」を京都シネマで鑑賞。第一印象は、これまでの想田さんの映画で一番「すっと鑑賞できた」というもの。一言で言えば「分かりやすい問題提起」が見えづらかったせいだろう。実はこの映画は目をこらさねばならないものだと思う。
この映画では繰り返し「宗教」のシーンが出て来る。スタジアムの外で「悔い改めよ」と声を張り上げる人(複数)、静かにチラシを配ろうとするエホヴァの証人、冒頭の方では「ハレークリシュナ教団」らしき姿も見えたし、そして掃除をするスタッフたちのカトリックのミサまであった。こういうのに目が行くのは僕と想田さんが宗教学科出身だから仕方ないと言えるが、何故彼らはスタジアム(の外)に来るのか。それは、単に人の多いところで布教しようという功利的な考えだけではなく、このスタジアムがまさにアメリカの俗なる部分の集合体であるからだろう。まさにThis is America.
この映画ではアメフトの試合自体は後景に退き(選手や監督も出て来るが、一挿話の域を出ない)、スタジアムの熱狂から一歩引いた裏方の人びとが中心となる。このようなクールな視点は、過去のプロパガンダ映画からはもちろんほど遠く、僕には市川崑の「東京オリンピック」の禁欲さを彷彿させた。
Katsutam

Katsutamの感想・評価

3.0
想田和弘監督、マーク・ノーネス監督による公開講座イベントにてオルタナティブ・エンディング版(125分)を観賞。

観察映画の前作「港町」がとても良かったので期待していましたが私にはハマらず。ただ、観察映画の定義からするとコチラのほうがちゃんと"観察"してます。

11万人収容できるスタジアムが舞台、毎試合ほぼ満席になる、しかもそれが大学所有のものって、それだけで興味はそそられるテーマ。学生を巻き込んだ映画制作プロジェクトだったという背景を後から知ったので、それを踏まえて再観賞したら感想が変わってくるかもしれません。

ちなみに私はオルタナティブ・エンディング版で参考上映された、通常版ではカットされたシーンは不要派です。
Aya

Ayaの感想・評価

3.6
アメリカ、カレッジリーグすげえ・・・。

11万人入るスタジアムって甲子園の2倍ですよ。

そしてやって来る観客はロッテファンのごとく皆が皆、チームカラーのイエローとブルー(まぁネイビーより)のユニフォームに身を包んでいる・・・。

カレッジリーグなのにチケット代が安くて6000円てのもびっくりした。
日本なら同じ秋節のDV.1の試合でも2000円ですよ?!

折しも2016年の秋リーグ、大統領選前に通常であれば民主党が勝つ地域でありながら、逆転トランプが勝利したミシガン州。

ミシガン・ウルヴァリンズってもうチーム名がカッコいいじゃん!!
イエローとネイビーのチームカラーもカッコいいし!

そりゃグッズも売れますわ。
みんな着ますわ。
選手はスターとなり、ヘッドコーチは高額な報酬を得る。

報道陣の数、カメラの数、そしてスポンサーの数は凄まじい。

あの、プレーをテレビで見るときにリプレイが出るじゃないですか?
あのとき解説してくれるときに選手の動きにペンで書き込んで「この選手がこっちに走ってキャッチするという作戦だったんだよ!」って係の人がいるなんて!

想田監督作品だから一筋縄ではいかないと思ってたけど、こちとらアメフト者。
春からの学生アメフトリーグのアレコレで非常に胸を痛める中、楽しみにしてたら、全然試合が出てこねぇw

アメフトってプレイによって入る点数が決まってるから、総合得点を見たらだいたいどうゆうゲームだったかの予測はつくんですね。

今回14-7ということで・・・4Q(15分×4)1TDで6点、それに付随するキックで1点。タッチダウンしないでキックするHGが3点だから、7の倍数が標準。

そうじゃない場合も考えやすいんですけど、この試合、2時間の映画にしてるのに3TDしか決まってない・・・そんな意図はないと思いますが、前後がこんな盛り上げてるのに、試合自体結構つまんなかったと思いますw

記者会見でもHG3回失敗してるって言われてたし、それ結構、ダメなやつやん・・・w

映画内に込められたものは色々考えさせられましたが、思い出したのはサシャ・バロン・コーエンの「ブルーノ」のラストの格闘シーンですね。

完全に来る貧乏白人の、見るからに貧乏さたるや・・・他に楽しみがないんだね・・・感すごい通じるとこありました。

ラストの学長主催パーティーに集まる高額寄付者たち。
この映画は全体的にすげえ金の匂いがするんだよ。

金持ちと貧乏人がものすごくわかりやすく映るんだけど、その金持ちの寄付で、アメフト関連の収入で、実際にお金のない学生を助けられているという事実。
金に関して良くも悪くも言ってない。
(ましてや作ってるのは当時ミシガン大で教えてた想田監督とミシガン大の学生ですからこれまた面白いねじれ構図)

想田監督が最初に作られ、ラストが今回削られてしまったとのことで、元のバージョンがぜひ見たいですね!!

メッシのユニフォーム着てスタジアムの外で水を売ってる少年に爆笑し、その水(ペットボトル500ml)が5ドルという値段に驚愕し、バックなどが持ち込めないセキュリティーに驚き、一糸乱れぬブラスバンドに感動しました。
大学でこの規模ってプロはどんだけだよ!!
わかんない、、、わかんないよ観察映画、、、

想田和弘監督の作品はこの前の「港町」で初体験。
めっちゃ介入しまくってんじゃん!っていうところが気になりすぎて
純粋に面白いとは思えなかったのですが、
今回は”観察”してる。

だがしかしちゃんと”観察”することが映画としての面白さに繋がっているのか?
大体的に"観察映画”と銘打つからこそ、入り込めない心の狭い人間ですみません。

観客席を掃除する女の子が「アメフト嫌い」と呟くシーンは良かった。
あずみ

あずみの感想・評価

4.0
めちゃくちゃおもしろいです

冒頭のテロップは誰の意向なんだろう。観察映画的にあのテロップはありなんだろうかとちょっと考えてしまう
人は全て役割を負い、それに応じて地位があり場所がある。そしてその上にある大きなシステムにつながる感覚を得るとき、熱狂が生まれる。けれど時間や距離を置いてみれば、誰しもが一人一人、同じような存在だ。この作品は、どちらも間違いではない二つの現象の、その隙間にあるなにかを捕まえようとする試みだったように思う。
matsubo

matsuboの感想・評価

3.5
観察映画第8弾。
舞台がアメリカで、1つの場所を題材にしているという点で、ワイズマン味がある。

ミシガン大学のフットボールスタジアム、通称ザ・ビッグハウス。10万人以上収容できるというのだから、規模がでかい(日本の新国立競技場の収容人数は6万8000人らしい)。

以下、箇条書きで。

●冒頭のテロップは、観察映画的にどうなの?
●大々的なスポーツイベントと軍隊の協力関係。
●日本でここまで人を熱狂させるスポーツってある? サッカー、野球、相撲ともここまでの規模にはならないよね。
●ゲートチェックの警察犬は爆弾探知?
●迷子タグとかあるんだ。どういうシステムなんだろう。日本でもあるみたい。
●国歌斉唱のとき、スタジアムのビジョンにチラッと映っていたのは手話通訳?
スポーツイベントに手話通訳つくのは見習いたい(日本では、2017シーズンに西武ライオンズが12球団初でヒーローインタビューに手話通訳を入れた。シーズン1試合のみ。2018シーズンは8/17の試合でつく予定。ただしライオンズ勝利時のみ)。
●チアリーダーの衣装、お腹ぽっこりに見える。
●楽隊の統率取れた感じ、私は意外と好きかなのかも。
●観客サイドは白人メイン。中国系はいたかも。黒人やラティーノは?
●ヘルメットの補修に驚く。あんなに削れるとは、どれだけ当たりが激しいんだアメフト。
●教会併設に驚く。
●掃除大変そう。掃除しながらの「アメフト嫌い」がなんだか刺さる。
●宗教がらみで「罪」という単語が頻発。
●ハンバーガーのセットが結構高い。
●フード関係の舞台裏の映像が一番おもしろかった。ワイズマン味も一番高い。が、食器洗浄層の水面下からの映像にはあまり意味を感じなかった。
●ジョン・ベーコンって誰?
●缶を集めるホームレスとかチョコレート売りの少年とか、スタジアムの内と外の格差。
人の営みは面白い。
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