真っ黒こげ太郎

ヘルボーイの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

ヘルボーイ(2019年製作の映画)
3.8
※本作はギレルモ・デル・トロさんの「ヘルボーイ」シリーズが好きな人がみたら怒りが爆発しそうな文章で彩られています。
ギレルモ・デル・トロさんの「ヘルボーイ」が好きな人はレビューを観てはいけません。
このレビューは所詮スプラッターホラーやZ級の内臓デロデロなホラー好きなボンクラオタクの戯言ですので、真に受けないでください。
ごめんね。



ヘルボーイさんの会社が社畜すぎる!w

寧ろここまで働かされてよく人類見限らなかったなぁ!!!

俺だったら速攻で見限る。w



“ブラッドクイーン”こと不死身の邪悪な魔女ニムエはヤバい病気を振りまいて世界支配を目論んでいたがアーサー王の剣によってバラバラにされ、体をあちこちに分けて封印されるのだった。

時は流れ現代、超常現象調査防衛局で働いていたヘルボーイ。
しかし親友が死んで酔い潰れたり、間髪入れず入れられた仕事で出張したら電気槍で殺されかけたり、満身創痍状態で複数の巨人を相手する羽目になったり、助けてもらった人がタマを吹っ飛ばそうとしたりと散々にも程がある目に遭うのだった。

一方、邪悪な魔女ニムエはあちこちから体をゲットし、復活しようと暗躍していた。
「こんな会社やってられっか!」と育ての親に怒鳴りながらも魔女ニムエを追いかけるヘルボーイ。
だが、ヘルボーイは事件を捜査する内に自身の出生の秘密を知るのだった…。




正義の心を持った悪魔が大暴れ…する?wバイオレンス・ファンタジー・ヒーロー映画。
同名のコミックヒーローである「ヘルボーイ」の二度目の実写映画化作品。

何やらスプラッター率多めらしい上に、監督が「ドッグ・ソルジャー」「ドゥームズデイ」のニール・マーシャルさんと聞いたら観ないワケにはいかんでしょ!!!とのことでようやっと時間を取って劇場に観に行きました。

しかし、あちらでは大コケなニュースを筆頭に、あっちゃこっちゃで(日本国内でも)不評の嵐!!!
折角のニール・マーシャルさんの最新作なのに!!!
まぁ、本作の前に作られたギレルモ・デル・トロ監督版の「ヘルボーイ」がやたら好評だったのもあるが…。

しかしまぁ、好きな監督さんの作品は応援したいので覚悟を決めて観に行ってきました。

…まぁ、確かに不評なのも分かる雑さだ。

…だが、嫌いにはなれないんですよぉ!!!!!

まさかこのシリーズがここまで自分の好きな趣向や心理に働きかける作品になるとは思わなんだ。
事前に旧作を観てると特に…。


まず、アレな所を述べると脚本がアレだ!!!
話自体は「悪い魔女を倒す」的な簡単なものだし、主人公の出生の秘密を掘り下げたりと基本自体は悪くない。
正直この手の映画の脚本なんぞ期待しないし、こちとらアクションやスプラッターとかが観れればそれでいいのだが、本作は長々と話すシーンが多すぎ!!!
特に巨人退治の連中が語るシーンがめっちゃダレる!!!
主人公の出生の秘密を知る重要な場面なのだが、それを踏まえたって話がgdりすぎる。
他にも要所要所で意味あるのか分からない会話が入ったり、やたら回想を入れまくる所為で話が停滞しまくってしまうのが残念だった。

そして、アクションが思ったより少ねぇ!!!
そもそもデル・トロ監督版と打って変わって、今作のヘルボーイさんは敵に苦戦しまくり!
あっちでも苦戦してたけど、本作はあれ以上にズタボロにされる。
そもそも序盤の時点で殺されそうになってるし、その後も敵さんが強すぎて苦戦しまくり!!!
銃は叩き落とされるし、怪力パンチしても効かないわで終始ボッコボコにされる。
それに加えて前述の話すシーンの長さのせいで、思った以上にアクションが出てこない!!!
エンディングのエピローグででようやく大暴れなアクションが観れたが、流石に遅すぎるだろ!!!
(その場面で鳴っているBGMが、よりにもよって主人公の無敵っぷりが素敵な傑作「シューテム・アップ」のED曲と同じなのが何とも…。)
同監督の「ドゥームズデイ」での主人公の無双っぷりは何だったのか…。
一応主人公なんだから、もっと強く描いてくれてもバチは当たらんと思うが…。

他にも、一部画面が暗かったり、クライマックスがあっさりしすぎなど、問題点を挙げたらキリがない。


そんなこんなで、お話が雑すぎて乗れないところも多く、予想していたアクションも観れなかった等、確かに大コケしたのも頷ける微妙さ。
近年のアメコミ有名作やデル・トロ監督版のような作品を期待したら、大爆死は必至なんじゃないでしょうか…。


…ですが、本作を「ゴミ!」と切り捨てるのは惜しいんだよなぁ。
だって、好きな所がガッツリあるんだもの。

まず何と言ってもスプラッター描写!!!
初っ端からグチャドロのグロに切り株と、大盤振る舞いでその後もちょくちょくゴア描写を挟んでくれるのがありがたい。
特に巨人との大バトルや、クライマックスの地獄の様な殺戮劇は最高の一言。
「グロイのいらん」などとほざくスプラッター映画の有難味や醍醐味が分からんヤツはクリーチャー達に解体されてしまえ!!!
と叫びたくなるぐらい、本作のゴア描写は素晴らしかった!!!!

クリーチャーも不気味な連中揃いで、ひたすら残酷でロックな映像を拝めるのが素晴らしい。
正直な話、デル・トロさんのシャレオツな雰囲気よりこっちの方が個人的には好きです。w

そして2つは、ヘルボーイさんの社畜っぷり。
本作はデル・トロさん作品とは違い、世間に顔も出せるし自家用車も持てる。
あっちのガチガチな社内規律に縛られてないしあっちより良い所もある。

しかしその代わりなのか本作では休みがねぇ!!!!
友人が死んで朝まで飲み明かしたいのに巨人退治に駆り出され、取引先にに裏切られて死にかけ休ませてもらったのに強制的に魔女退治に駆り出され…と今作のヘルボーイさんの会社は余りにもハードすぎる。
軽くブラック企業じゃねぇか!!!

しかし、そんな中で「クソッタレ!!」と叫びながら必死に職務をこなすヘルボーイさんの姿は、仕事の忙しい人間としては痛い程胸に刺さる。
ある意味、プーさんの実写版と同じくらい世知辛さを味わえた。
(何つー映画を引き合いに出してんだw)
正直な話、女の子にウツツを抜かしていたデル・トロさんの作品よりこっちの方が良い。

ラストのシーンを見る限り、ヘルボーイさんも仕事にちゃんとやりがいを感じてるんだなぁと思うとまた胸が熱くなる。


そんな訳で、話の内容やビジュアル等は実に俺好み。
こういうボンクラ精神に刺さる内容だけに、上記の難点が惜しくなってしまった。


本作で「旧作の方が良かった」と言うファンの気持ちは分かる。
本作と旧作を見比べると、如何に旧作が如何に優れているかが分かるだろう。
あっちは脚本もしっかりしてるし、アクションもちゃんとある。
オシャレでデートムービーにもぴったりだ。観終わったカップルはその後色々とよろしくやれる事だろう。
普通に考えればデル・トロ監督版のが優れてるのだろう。

しかし本作を観て、自分はこういうのが好きで、こういうのが観たかったんだなぁと気づかされてしまった。
だって俺、アクションとスプラッターの方が観たいんだもの!!!
正直、恋愛劇よりアクションしてる作品の方が好きだもの!!!

…ごめんなさい。デル・トロさんとファンの方々の皆様、本ッ当にごめん。
「シェイプ・オブ・ウォーター」も「パシフィック・リム」も最高です、大好きです。


何か長々とした文章になってしまったが、これはこれでの精神で観れば見れなくないし、違いを楽しむこともできるので見比べて観るのも一興だと思います。
とりあえず容赦のないスプラッター映画が好きなら観ておいて損はないと思う。
それ以外の人は…まぁお好みでどうぞ。

後、デル・トロさんの「ヘルボーイ」が大好きな人は、別物と割り切った上で、覚悟を決めて鑑賞した方が良いと思います。

ちなみに、脚本の面白さとアクション面ではデル・トロ版、ストーリーの内容とビジュアル面ではニール・マーシャル版が好き。
なんだか複雑だ。