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華氏 451のmaverickのレビュー・感想・評価

華氏 451(2018年製作の映画)
3.5
恥ずかしながらオリジナル版があることを本作で初めて知った。こうしてリメイクされることでオリジナル作品を知るきっかけにもなることは良いことだ。設定は斬新で非常に面白いが、これは元のオリジナル版がそうであるから。演出を現代版としてスタイリッシュにしたかったのかもしれないが、どうも元の作品性と上手く合致せずに何だか中途半端なSF映画となってしまっている。せっかくの面白い設定を生かしきれていないと感じた。テレビ映画として製作されているようで予算は多くないのだろう。チープさも目立っていた。マイケル・B・ジョーダン、マイケル・シャノンが出ているのでそこは見応えはあるが、設定自体の面白味以外ではさほど魅力を感じない作品だったな。本が禁止されている世界。人々は本から様々な考えにいたり、自らの主張を他人と交わす。それが行き過ぎて違う考えの人を排除しようとする。それが戦争に繋がってしまい、様々な考えを生み出すきっかけに繋がる本を禁止する法が生まれる。非常に面白い設定だ。考えの違いが争いを生むのは正にそうである。しかし人はそれぞれに違う。環境によって、生き方によって、様々な影響を受けて考え方は変わってゆく。1つのものに縛られないのが人間らしさであって、それを全て排除するというのは人間らしさを奪うということだ。もちろん法や倫理で線引きはしないといけない。ただしそれも全てではないということだ。本作は本が対象になっているが、映画もそう。様々な価値観で描かれ、それを観る人が様々に感じる。映画が検閲の対象になっているのも事実で、今も国によっては厳しく規制されている。日本も戦時中にあった。本や映画が禁止されるそんな世の中がやってくるかもしれない。そうなったら本作の人々のように人間らしさを求めて闘うんだろうな。
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