福福吉吉

コールド・スキンの福福吉吉のレビュー・感想・評価

コールド・スキン(2017年製作の映画)
3.0
◆あらすじ◆
1914年、青年は南極海の果ての孤島に新しい気象観測員として赴任する。その孤島には灯台守のグルナーが住んでおり、愛想のない男だった。青年がその孤島で夜を迎えたとき、青年の小屋に得体のしれない何者かが集団で襲ってきた。青年は命からがら生き延びるが小屋は崩壊し、灯台守のグルナーのもとへ向かうのだが...。

◆感想◆
主人公の青年が南極海の孤島で得体のしれない生き物の群れと戦い、その生き物のことを知っていくストーリーとなっており、青年とグルナーと謎の生き物の間で繰り広げられる諍いや変化を描いた作品となっていました。ホラー作品としてみると当てが外れる気がします。

主人公の青年(デヴィッド・オークス)は気象観測員としてその孤島に赴任しますが、その性格は穏やかでどこか物寂しい雰囲気がありました。謎の生き物たちに襲撃されて以降、青年は謎の生き物と戦うことになりますが、それと同時にその生き物に興味を持っていて、彼の興味が観ている私とリンクしているように感じました。

灯台守のグルナー(レイ・スティーヴンソン)は武骨で愛想が無く、小屋を失った青年を「友」と呼んで灯台へ招き入れ、謎の生き物との戦いに駆り出します。また、グルナーは謎の生き物の女性「アネリス」を「飼って」おり、ペットのごとく扱いながら性のはけ口としても利用しており、嫌悪感の拭えない人物でした。本作において謎の生き物より不気味で恐ろしい人物だったように思います。

謎の生き物は体毛が無く、肌の色が青い人型の生物で水の中で生活していました。なぜ彼らが人を襲うようになったのかは分かりませんが、アネリスの存在から考えて、必ずしも戦いを望んでいるわけではないようです。

ストーリーとして青年が灯台で暮らすようになってからは、昼間の日常的な風景と夜間の戦闘シーンが交互に繰り返されるものになっており、緩急がついていますが変化として乏しいので少し冗長に感じました。しかし、青年とアネリスの関係が近くなっていくにつれ、グルナーが狂気めいた行動を起こすようになって、彼の闇の部分が良く出ていて、興味をそそりました。

謎の生き物を介して人の闇深い部分を描いた作品になっていて、面白いと思いました。

鑑賞日:2024年9月23日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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