ペジオ

コールド・スキンのペジオのレビュー・感想・評価

コールド・スキン(2017年製作の映画)
4.2
島と男と男と怪物、これが揃えば何かが起こる 一度や二度で済むわけがない

いやこれ傑作でしょ
ニーチェの有名な「怪物と闘う者は…」で始まる物語は題材やルックに則った上で、意外な程正攻法な作り(なんつーか…B級に甘んじてない「堂々とした」感じ)
1914年という時代設定やオーストリア皇太子殺害の記事など「大戦」を想起させる諸々からも根源的な人間の業を感じ取らずにはいられない(こんな辺境でも似たような事は起こっていた訳だ。「うちはうち!よそはよそ!」が通用しない世界。)
非日常だった筈の事象がやがて日常になっていく過程
いまだに再解釈を繰り返す歴史の如く、意味の無いものに意味を見出だす人間の「孤独」に起因する罪深さ
きっと何度でも同じことが起こる…そう思わせるラストの皮肉
実際これは恐らく「二度目」を描いた映画なのだ…ということは…

舞台となる島のロケーションが寂寥感溢れていて良い
鯨の全身骨格は何故あんなに美しいのだろうか?
怪物の不気味と愛らしさのバランスや潜水服のレトロなデザインもやっぱり格好いい

人と怪物との交流に関するアプローチなど、「シェイプ・オブ・ウォーター」との類似点は多い(グルナーとストリックランドにも根っこの部分で同じものを感じる。)
そういう意味での「三度目」は大いに期待している
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