「ライトハウス」ロバート・エガース監督作をTOHOシャンテで鑑賞。難解なストーリーとギリシャ神話を散りばめた暗喩の連続。
孤島にある灯台を舞台に、2人の灯台守が狂気と幻想に侵され、徐々に狂っていくスリラー作品。
ほぼ正方形のような画面構成と粗いモノクロ映像は、2人の窮屈さ、閉塞感を効果的に演出している。
登場人物はほぼ2人のみ。R.パティンソンとW.デフォーの舞台劇の様な演技合戦も本当にお見事だった。
全体を通して、これは現実なのか、幻想なのか判別できない場面が多数あり、それが本作をより魅力的にしている。人魚(セイレーン)とのメイク・ラブ、生き埋め、蛸の出現シーン等々…
孤独を癒す唯一の薬はやはり酒。アルコールに溺れるにつれて、狂っていったのではなく、彼らは元から狂っていたように見える。
ストーリーが展開するにつれて、2人の主従関係が徐々に変化していくスリリングな可笑しさ。(首輪をつけられたあの姿は妄想?)
目を引く印象的なショットが多数あるのも忘れられない。(終盤の眼からビーム、あれ何?)
(追記: 同性愛者の画家、サシャ・シュナイダーの「催眠術」と呼ばれる絵画の構図をモチーフにしたとの事。)
終始鳴り響く霧笛、荒れ狂う波の音、不気味な海鳥の鳴き声、灯台の機械音…音響デザインが秀逸で魅力的。劇場で鑑賞する事を強くお勧めします。
動物も人間も大切にしましょう。必ず自分に返ってきますよ。
(追記)
「ライトハウス」と「シャイニング」って同じ構造の映画ですね。仕事のために灯台に篭ったら気が狂ってしまった男たちの話。雪山のホテルに篭って原稿を書いていたら気がふれてしまった男の話。
両方ともアルコールが狂気への出発点であり共通している。
調べたらロバート・エガス監督の人生ベストホラー映画が「シャイニング」との事。やはり下敷きにしてるのね…