らくだ

ライトハウスのらくだのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.0
孤島の灯台で、4週間の管理人として派遣されたウィンズローは、同僚からの強烈なモラハラを受けながら任期を耐え抜く。4週間後、迎えの船が嵐で来れなくなり強制的に任期が延長されてしまい、精神の疲弊、仕事の苦痛、灯台守の孤独などが心を蝕んでいく…という一人の人間の狂気を硬質なモノクロ映像で描くサイコスリラーです。

モノクロ、かつ映画としては珍しい正方形に切り取られた画面が作り出す硬質で陰鬱として画面外への逃げ場のない独特の空気感と、全編現在の主人公視点で語られるゆえの情報のなさ、それに合わせて鳴り響く完全に不気味で不快なBGMと相まって、こちらまで精神がすり減ってしまいそう…というか、すり減らさせるための工夫がこらされています。
物語が進み、後半1時間は基本的にずっと映画が狂い続けて何が現実で何がそうでないかわかんなくなるんですが、CGや特殊効果を一切使わずに、俳優の演技と小道具だけでここまでの狂気を描くなんて並じゃないですよ…現実と地続きに悪い夢を見ているかのように、正気が階段を転げ落ちていってどんどんわけわかんなくなっていきました。観てる人間を狂わせる映画は良い映画なので…

「面白かった!」という感想よりも、観た後に頭にこびりつくような、もしくは胸のところに黒いひっかき傷をつけられたような後味の悪さを感じる、気圧の強い作品です。


あと、この映画カモメが大分ひどい扱いを受けたりグロいシンボルとして描かれるので、そういうのが苦手な人は気を付けてほしいですね!そういうのが苦手な人はこういう映画は観ないと思います!そっか!
らくだ

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