butasu

ライトハウスのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

ライトハウス(2019年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

孤島の灯台で狂っていく男(たち?)を描いた映画であり、とにかくずっと「どれが現実なのかわからない話」を見せられる。主人公のウィンズローが明らかに狂っている"信頼できない語り手"なので、彼目線で描かれる本作はもう何を信じて良いのかわからない。相方の老人ウェイクも様子はおかしいのだが、ウィンズロー目線なわけで、何とも言えない。

白黒で真四角の映像の圧迫感は上手いし、古い映画のような音響の使い方は好きだったが、思わせぶりなシーンばかりで段々と疲れてくる。灯火室を奪い合うとか、人魚とか、ギリシャ神話を元にしていたりとか、性的なものやそうでないものとか、とにかく色々モチーフもあるようだが、そんなに考察したい気持ちにもならない。

ただもうウェイクを演じたウィレム・デフォーの迫力が凄かった。普通この手の話だったら狂っていく主人公の方が目立ちそうなものだが、本作ではウィレム・デフォーの一人勝ち。いつもの"小狡い悪役"ではなく、"純粋なクソジジイ"を完璧に演じている。クソジジイ過ぎてものすごくイラつくし、主人公に向かって呪いの言葉をかけるシーン(目を見開いて全然まばたきをしない)は心底怖い。彼のクソジジイ感が際立つため、主人公がウェイクに対して父性や妬みなどの愛憎入り交じる感情を持て余し、ストレスで狂っていくのに説得力が出ていると思う。

嫌いではないがそこまで好きでもない作品。
butasu

butasu