Moeka

ライトハウスのMoekaのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.3
1:1.19のアスペクト比はサイレント時代の大きさだしこのザラついた白黒映像、暗がりに思いっきり醜悪に映し出されるデフォー爺さんとかろうじてハンサムなパティンソン様もまるで怪物のようで往年の恐怖映画の美しい悍ましさを感じるそれだけでまず嬉し。灯台にやってきた男ふたり、1人は光に近づき1人は辛い労働を強いられる、シーシュポスの神話やプロメテウスを想起させる。ポーやラヴクラフトの怪奇譚を参照しているのも間違いない。面白いのは1800年代、ウェールズ地方の灯台でふたりの男が嵐によって閉じ込められ1人は病気になり、生き残ったもう1人は腐乱死体と共に数週間過ごす羽目になった実話にも基づいていること。

見続けていると過激なラブストーリーw にも思えてくるし父子の摩擦にも思えてくるし、また神と人間の物語でもある。ふたりの錯乱した演技は彼らのキャリア上ベストと言っても過言ではないのでは。カメラワーク、構図、映画を真剣に撮ったエッガス監督のこれはミニマムなようでいて沢山のモチーフや解釈を盛り込みつつ、超絶怖くて笑える作品になっている。スコセッシが某映画群を映画じゃないと最近言っているけど、確かにこういった映画をみると気迫すごいってなって嬉しいなー!
Moeka

Moeka