軽骨

シシリアン・ゴースト・ストーリーの軽骨のレビュー・感想・評価

5.0
途中で出て来る眼鏡小僧がのたまう「人類は滅んで廃墟は植物に覆われて世界は神の下へ帰り、笛が鳴らされる」みたいな内容の少し違和感を覚えるほど長尺の演説はジュゼッペ少年への祈りだったのかもしれない。そんな言葉達がルナにとっての新たな希望の萌芽にもなっているというのが構造としてとても美しいと思った。全てが何気なく、呆気なく行われていくのが心地良い。そんな感覚になってはいけない題材ではあるとはいえ、重たいなんて言い方では到底足りない「事実」を描く映画でありながら、観る者にはシチリアの美しい風景の印象が、凄惨な事件のそれに匹敵するほど強く響くように作られているのは間違いないので、この映画から溢れんばかりの瑞々しさを感じ取ってしまうのは決して作り手の意図に反することでもないだろう。「僕の中には海があるんだ」と少年は言った。それはこの作品の、そしてこの世界の隅々にまで満ちている「夢」であるのだと、信じてみたくなる。青髪めちゃくちゃイカす。