れおん

シシリアン・ゴースト・ストーリーのれおんのレビュー・感想・評価

3.4
1993年、地中海に浮かぶイタリアのシチリア島での実際の事件を描く。13歳の少女、ルナが想いを馳せていたジュゼッペが突如失踪してしまう。当時のシチリア島での背景を描きながら、現実から目を逸らす周りの人々と向き合い、少年を想い続ける少女。少年はなぜ失踪していなったのか…
国も時代も環境も、我々とはかけ離れた世界ではあるが、日本の現代社会に通じる、感じ取れるものは少なからずある作品。深く、清く、何とも切ない、心が締め付けられる。
神秘的な映像美が続き、芸術性が高い、ファンタジー作品ではあるが、映画の根本が少しずれているようにも思える。価値観や映画の手法が伊映画を普段見ない身として、上手くハマらなかった。
人間が全員人間には見えない。瞬きが少なく、単調な喋り方。あまり喋らない、自分を出さない、とシチリア島の人々の特質であることは評論家の方がおっしゃっていたが、映画の中の人物としては薄すぎる。
ストーリーの展開も起伏が激しく、求めているところは表面上でしか描かれておらず、重要ではあるが、表現・描写のシーンが長く続き、人物があまり描かれない。映画全体を通して、深いように見えて、単純。共感できなかった場面が多い。
イタリアではヒットしなかったと言う。やはり、実際の事件として、本国での人々は見ていて苦しかったのであろう。
彼の魂は届いているのだろうか。司会の配給会社がおっしゃってた感想では、目的は果たされていないのではなかろうか。
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