私たちは常日頃、信じられない様な凄惨な出来事や事件を目にしたり耳にする事があり、心を痛めたりする事はあれど、どこか自分には遠い話の様に実感を得なかったり、時に忘れていってしまったりしてしまうもの。
忘れられてしまった魂は何処へ行くのか。そして、大切な人を突然奪われた悲劇に向き合い続けねばならない者はどうすれば良いのか。
映画は痛ましい現実を変える事は出来ないけれど、そういった魂や人々への癒しや哀悼になる事は出来る。
それは物語や創作物の役割だったり、力だと思う。
厳しい現実に生きる女の子が「物語」の力で救われていく物語というと、やはり「ミツバチのささやき」や「パンズラビリンス」を想起させられる。舞台はイタリアと異なるけれど。
シチリアの美しい風景と流麗なカメラワーク。
丁寧でさりげない伏線と構成の見事さ。
コドモからオトナに変わっていく十代の美しさと繊細さを体現した主演ふたり。
言葉にならないくらい、素晴らしい。
