やっこ

シシリアン・ゴースト・ストーリーのやっこのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

なんも調べずに観てしまった。
それが良かったのかもしれない。
思った以上に重い話だった。

現実と夢とが凄い曖昧な映像。
映像に切れ目を感じない。全てが繋がっているみたいな映像で、水の中はいつのまにか陸に、陸はいつの間にか水の中に。そんな曖昧な世界観が、純粋なファンタジーじゃないからこそ不気味にうつる。
環境音も全て不気味。何か出てきそう。


13歳という、今の時期そこらへんをぶかぶかの制服着て歩いてる子達と同じような年齢の子に起きる悲劇。
主人公は、そんな悲劇の中心にいるジュゼッペ少年と、ようやっと結ばれたかに思えた女の子のルナ。
甘酸っぱい話が始まる前に、ただ一回のキスの直後に彼は姿を消す。
それでも大人は何故か皆、彼の事件に関わる気がない。

ここらへんは、イタリアマフィアに詳しくないので、よく分からない部分もあった。
でも、わからないからこその不気味さ、どうしようもなさ、悲しさを感じた。

夢の中でも、現実でも何度も何度もジュゼッペを助けに行こうとするルナ。そしてそれは不思議と真実に近づいていく。

最後はようやく会える二人。
でもその結末は、決してハッピーではない。
私は、ルナは生きてると思ったけれど、違うのかな。もう流石に亡くなってるのかな。

最後の最後、海のシーンで、
ジュゼッペのような少年は遠くで海にジャンプしている。
けれどルナやルナの親友やその彼氏なんかは、ルナの周りにいる。
これは生きてる者とそうじゃない者の暗示なのかなあ、と考えたり。
考察しがいはある結末。

でもエンドロールの前に
「2年以上にわたり監禁された少年に捧ぐ」と流れ、
この事件だけは夢じゃないと叩きつけられて、心が沈んだ。
彼が、映画の中のように、せめて死んだ後は好きな人と笑いあえていれば良いと思わずにはいられない。

(私は動物に詳しくないけれど、
ジュゼッペの家にあったぶら下がってるものは、馬の死体だったのでは…とか考えてしまう。そう思うと、あの時点で、お爺さんはジュゼッペが助かると思ってないのではないか。乗る人がいないものは、もう育てても仕方ないということなのかな…あれが馬の死体ならの話だけれど。
でもその後、ルナやジュゼッペの夢のシーンで馬が何度も出てくるので、そうなのかなあとか思ったり)
やっこ

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