honestaki

シシリアン・ゴースト・ストーリーのhonestakiのレビュー・感想・評価

4.0
実際にあった事件を着想に、幻想的な物語を作ったのだと。
前情報はこれだけ。
映画を観る前はウキウキご機嫌だったのに、早々にこの作品を選んだことを悔やみ始めた。
家で観ていたら、リタイアしていたと思う。

90年代のシチリアで、マフィアの内部情報を告発する”改心者”への報復のために12歳の息子が誘拐され、25ヶ月に渡り監禁された挙句に殺された実際の事件。
誘拐された少年を思い、求め続ける少女。
とにかく、辛いのです。

とても美しいのであろうシチリアの自然をイエロー弱めの冷たく尖った映像に仕上げており、悲しく幻想的な雰囲気。
ホラー映画は音の芸術だと言うけれど、林の一本一本の木が、ただの焚き火がとにかく残酷に見える。
二人の主人公と共に精神が崩壊していき、「これは映画なのだ」と言い聞かせても、実際の現実世界の話なのだから恐怖が増す。

作品の完成度は高い。
そうでなければ”ジュゼッペに捧ぐ”などいい加減な事は出来ない。
幻想的で美しい精神世界を描いていると思う。
でもやっぱり、「面白かった」とは言えない。
映画館から出てきた夜中、私は発狂して崩壊しそうで涙が止まらなかった。
『セブン』を観た後でもこうはならなかったのに、とにかく子供の未来を奪った残忍さと、今尚蔓延るマフィアの存在が恐ろしい。

負の余韻が三日経ってようやく抜けてきた。
メンタルに自信がない人は、絶対に観ないほうが良いです。