sumi

シシリアン・ゴースト・ストーリーのsumiのレビュー・感想・評価

4.1
実話ベースの作品。だけど実話そのままを描いたのではなく、そこにフィクションがうまく調和されている。
鑑賞後にスゴい心にクる作品だった。
なんか分からんが揺さぶられた気がする。
凄惨な物語に美しい映像。少し難しいんだけど神秘的な話。
合ってるかな?笑

実話ベースだけど実際の事件は知らなくても大丈夫。
知っていると逆に事件の結末は分かっちゃう。反面、この作品で事件がどのように描かれてるかが分かりやすいかもです。
自分は鑑賞後に事件を調べたけど、後で知った方が精神的ダメージが大きいかなと思います。

ここからは事件と作品についてガッツリ書きます笑
調べたらすぐ分かるんですが、この作品のベースは1993年の"ジュゼッペ事件"。
⚠️
シチリアで1993年に実際に起きた、マフィアの内情を暴露する密告者サンティーノを父に持つ、12歳の少年ジュゼッペ・ディ・マッテオ。そんな彼が誘拐・殺害された「ジュゼッペ事件」。
息子を救うためなら検察への告発をやめると考えての犯行であったが、サンティーノは息子の誘拐後も告発を続け、監禁は779日間にも及んだ。ジュゼッペは最終的に1996年に絞殺され、死体は酸で溶かされた。痩せ細った彼は、亡くなる時に30kgほどしかなかったという。

ジュゼッペ事件は本幹でありベース。
ここに付け足されたフィクション要素が作品を凄い作品にしたと思います。
そのフィクション要素が主人公ルナの存在。これが精神的ダメージの理由なんすけど。
じゃあ(現実の)ジュゼッペの救いは……?

この作品はルナとジュゼッペの魂の触れ合いを描いた作品。
それが『シシリアン・ゴースト・ストーリー』のタイトルの由縁。
湖に行ったルナは幻に誘われ、死の縁を彷徨う。そこでジュゼッペと出会うのだ。
それは言わば生と死の狭間の世界。
2人が出会えるのはそこでだけ…。
ラストシーンでジュゼッペのいる小屋に辿り着いたルナ。そこで会うのはゴーストのジュゼッペ。(この時のルナも生身じゃないってことよね?)。ここではジュゼッペがルナを救う。
お互いの存在が拠り所になっていたことから、魂の救済が描かれた作品といえるかな?

最後の海辺のシーン。奥に1人海へ飛び込んでいく人物が遠目に映っている。そっちを見て微笑むルナ。
あのシーンはあかん…涙。
悲惨とも言えるこの物語を魂の救済を描くハッピーエンドにしたのは、この事件で犠牲になったジュゼッペへの祈りのよう。
この映画が彼の存在を示してくれている。
絶対また観ます。


■あらすじ
シチリア。ルナは同級生のジュゼッペに想いを寄せている。想いを綴った手紙を勇気を振り絞り彼に渡そうとしていた。
学校からの帰り道、ルナはジュゼッペの後を追い森の中へ。足下のイタチに驚いたルナは悲鳴を上げ、ジュゼッペも彼女に気づく。ジュゼッペはルナの背後から忍び寄り、手紙を取り上げ、「僕への手紙?」と尋ねる。照れくさくなったルナは別のジュゼッペと言いごまかす。
ジュゼッペは笑うが、ルナはいじけてしまい1人で帰ろうとする。しかし、獰猛な犬と鉢合わせてしまい、そこへジュゼッペが駆けつける。執拗に追いかけてくる犬からどうにか逃げ切るのだった。
辿り着いた先はジュゼッペの家。ジュゼッペはバイクを自慢してルナを乗せる。13歳で運転することに文句を言うルナだが、嬉しそうに彼のバイクの後ろに乗り、牧場へと向かう。
ルナはジュゼッペが乗馬する姿を眺める。それからルナは改めてラブレターを渡し、ジュゼッペにキスする。ジュゼッペが馬をつなぎに行っている間、ルナは野原を歩きながら待つ。このとき彼女の背後で2台の車が通り過ぎ、ジュゼッペは忽然と姿を消してしまう。
ルナの家族、特に母親はルナとジュゼッペとの交際を快く思っていなかった。ルナは自分は好きな人に会う、として両親に反抗的な態度。ルナの父は良き理解者であろうとするが、母に言いなりで頼りない父にルナは心を開こうとしない。家族の溝は深まるばかりだった…。