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シシリアン・ゴースト・ストーリーのFoMuのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

苦しかった、ジュゼッペの誘拐事件が実話だということを事前に知っているだけでこの作品から受け取れる重みがだいぶ変わってくると思う。映像が幻想的であまり雑音が入っていないため自分まで夢を見ているような感覚になった。映像はとても好きだけれど、ストーリーが苦しすぎて2回目は個人的に観れない…

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一応ジュゼッペ事件の詳細コピペ載せておきます↓

1993年11月23日、ジュゼッペがよく出入りしていた馬小屋に警官の制服を着た男たちがやってきて「きみの父親はいま警察に協力しているから、そこまで連れて行って父親に会わせてあげよう」とジュゼッペを騙し車で連れ去った。誘拐を指示したのは、父サンティーノの友人にして上司で、ジュゼッペのことを赤ん坊の頃からよく知るマフィアの頭領ジョヴァンニ・ブルスカだった。息子を救うためなら検察にマフィアの内情を漏らすのをやめるにちがいないと考えての犯行であった。
しかし、サンティーノは息子の誘拐後も口をつぐむことなく告発を続け、ジュゼッペの監禁は779日間にも及んだ。ジュゼッペは鎖と目隠しをつけられたままシチリア各地の監禁場所を転々とし、最終的にジュゼッペの家から20キロの位置にある人里離れた倉庫で、1996年1月11日の夜に絞殺され、死体は酸で溶かされた。骨と皮しかない程に痩せこけた彼は、亡くなる時には30キログラムほどの体重しかなかったという。
その後、誘拐を指示したジョヴァンニ・ブルスカは1996年5月20日に爆破テロの実行犯として逮捕され、終身刑の判決を受けた。

この「ジュゼッペ事件」は、シチリア出身である監督二人の脳裏にまるで憑き物のようにこびりついたという。「こんなに苦しい出来事が起きてしまう世界に対して怒りを覚えずにはいられない」と語り、ジュゼッペという救いなき物語に閉じ込められたひとりの亡霊を描いた本作が撮られるきっかけになった。
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