YUKi

ザ・プレイス 運命の交差点のYUKiのレビュー・感想・評価

3.7
ワンシチュエーションの会話劇であり
目には見えない群像劇。
the placeというカフェに1日中居座り、
目の前に現れる“相談者”の話を聞き
アドバイスし続ける。というお話。

あるカフェを舞台にした平和な日常、
などではなく、切羽詰まった相談者に
かなりピンポイントで過激な助言を続けるものだから
この作品、どう展開するのか‥。
とじわじわ迫る危機を予測しながら
見守るような感じ。

次第に“アドバイザー”のクライアント同士が
人間関係を交差させる仕掛けになっているので
彼の身も安全とは言い切れないのに、
「昨日は一睡もできなかった」以外の
危機感はあまり見せない。

作中でも幾度となく出てくる“神”という
言葉のように、彼は神であるかのようなポジション。

そう、占い師や人生アドバイザーなんかには
話せないようなことも話せてしまう。
それは彼が神だからじゃないのかと。

自らの心の神にだから託せる願いを
具現化してくれるアイコンが彼なのかと。
それを思うと彼は実在した人物なのかどうかも
わからなくなってしまいますが、
心の闇から引き出した葛藤や悩みを
聞いてくれる人がいるなら
架空かのような存在であってほしい。

なんの躊躇もなくためらいもなく
全てを吐き出してしまいたい、
そんな人が集まってくる理由が
何となくわかった気がした。

実際、自分ならもちろんあれを相談する
とか頭に描きつつ観ていたし、
対しての返答が犯罪であれば
どう受け止めるのか‥まで考えていました。

かなりお疲れのようだった神の
ノートの最後に書かれた願望は
(たぶん)ただただセクシーなもので
やっとクライアントによって与えられ
満たされた瞬間‥
であれば良い。と思える着地点も好い。
YUKi

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