Kaoru

エマの瞳のKaoruのレビュー・感想・評価

エマの瞳(2017年製作の映画)
3.2
イタリア映画祭にて鑑賞。

恋は盲目よねぇ〜とは言うけれど、盲人のほうがよっぽどいい恋愛ができるんじゃないかしら、という作品。

原題は「物事に隠された色」という意味。
同監督のやはり同じ視覚障害者たちのドキュメンタリー『多様な目』と立て続けに鑑賞したため、かぶる部分は多かったけれど、ソルディーニ監督、よほど視覚障害者の作品意欲が出る出来事でもあったのだろうと調べてみたらやはりそうだった。自身が出会った盲人の理学療法士エンリコさんの生き方に感動して作品にしたのだとか。このエンリコさんは『多様な目』にも出演されておられ本当に素敵な人だった。

恋人がいて、人妻と不倫もして、それでほかの女性とも寝てしまうテオというイタリア代表的クズ男。それでもっていざセックスとなると中折れしちゃうような中年男性あるあるなんだけど、エンマに大切なことを気付かされる。けど気付いたときには遅いのよ、バカね。と言ってやりたいのを抑えつつ、エンマを応援していたアタシ。

欠点だらけのテオも憎めないのは愛が欲しかっただけ。家庭環境は人それぞれだけれど、愛に飢えてるからこそ愛を失ってしまうという可哀想なオトコでもあって、人を傷付けたり傷付く経験をしてオトコの深さを手に入れるのではないかしら。

視力が欠けてる人と、心が欠けてる人、欠けてるからこそ人って愛しいんだなぁと思えた作品。
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