わしかずまの中の人

教誨師のわしかずまの中の人のレビュー・感想・評価

教誨師(2018年製作の映画)
4.0

【あらすじ】
プロテスタントの牧師である佐伯は、月に2回拘置所を訪れて死刑囚と面会をする。
様々な性格の死刑囚と向き合い、葛藤する佐伯。
ある日、一人の死刑囚の死刑が執行される事に・・・。

【事前情報】
教誨師とは、刑務所で受刑者に対して説教をする人の事。
洋画では、よく神父様が刑務所で登場しますね。

そして、大杉漣さん最後の主演作となった今作。
北野映画好きとしては、外せない俳優さんだなぁ。
ご冥福をお祈りします。



👇以下、ネタバレ含みます👇
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【所感】
わしが教誨師という存在を初めて知ったのは、東京拘置所の刑場が一般公開された時。
当日の朝、死刑囚は突然執行を命じられ、最初に教誨室に通される。
そういった極限の状態の中、死刑囚が実質的に、人間的な会話をする最後の相手となる教誨師。
半端な人では務まらない役目だなと、感じた記憶があります😌

各死刑囚と教誨師の佐伯との会話がメインなのだけど、これが面白い。
個人的には、野口のおばちゃんが一番ツボ(笑)
「そうですよねー、生まれ育った土地には、愛着ありますしねぇ。」
「ありませ〜ん、全然。」
いや、無いんかいw

その他の死刑も個性的。
拘置所入ってもホームレスっぽい進藤。
ヤクザの吉田。
そして、植松聖をモデルにしたと思われる高宮。

終盤で、とある死刑囚の死刑が執行されるのだが、ここの描写はあっさりと描いている。
あくまでもメインは死刑囚と佐伯との会話。
教誨師が、対話を通じて死刑囚と寄り添う姿が強調された、素晴らしい構成だと思います👍

【まとめ】
本作はオムニバス風の形式で、一人ひとりの死刑囚を掘り下げ過ぎないところがポイント。
それぞれ個性的なキャラクターだけど、出しゃばり過ぎず、それでいて絶妙に社会不適合者感が出ている。
そういった個性の中心に、教誨師の佐伯がいる。
教誨師という基本的には座って死刑囚と対峙し、会話をする立場の人間で、演じるのは難しい役だと思います。
そんな役柄を、違和感なくこなす大杉漣。
やはり、素晴らしい俳優さんですね👏