【死刑囚と教誨師の人間模様】
数年前に亡くなった大杉漣さんがプロデュース・主演した映画。
大杉さんは死刑囚の話を聞くキリスト教の牧師、つまり教誨師を演じています。
真面目に(?)キリスト教の洗礼を受ける人も出てきますが、おおかたの死刑囚はキリスト教を信じていません。
ならばなぜキリスト教の教誨師を指名して話をするのか。
この映画が優れているのは、そのあたりをちゃんと描いていることです。決してキリスト教のプロパガンダ映画に堕してはいません。
死刑囚の過去や性格は様々であり、教誨師を利用して減刑を・・・という食えない奴もいます。でも、世の中、そういうものでしょう。それもまた人間のあり方の一つですから。
牧師自身の過去も盛り込まれています。これによってこの映画の説得性が増しています。つまり、牧師自身もキレイゴトの人間じゃないということが明らかになっているわけですから。
だから、この映画、舞台は狭いし登場人物も多くないけれど、実は人間世界の縮図を映し出しているとも言えるでしょう。
死刑の場面も感動的です。
最後に優れた映画を世に贈った大杉漣さんに、合掌!