ariii

教誨師のariiiのレビュー・感想・評価

教誨師(2018年製作の映画)
2.8
怖かった。ゾッとした。
部屋の中で教誨師と死刑囚が入れ替わり立ち替わり会話をしていて。
いつ死刑執行されるかわからない中でよくそんなに話できるなという人から、自分の罪をあまり悪く思っていない人、恐怖に襲われている人など。
教誨師の立場から話をするって難しいだろうなと感じた。
どんな言葉を選んで、どんな顔でその言葉を放つか。
言葉の意味って受け取る側次第だから。
話を聞いてることをちゃんと伝えて、どんな人か知ろうとすること、寄り添うこと。
死を目前にしている人にどんな言葉をかければいいのだろうと思ったけれど、ただその人を受け入れて、丁寧な言葉で返す。
自分の感情を抜きにして相手を受け入れるってすごく頭が良くないとできないと思う。
「あなたのことを知れて良かったです。」
知らないから、怖い。確かにそうだなと思った。
何が正しいとか、どう生きるとか、考えることで、誰かに話すことで、自分を見つめ直すことができる。
一時の感情に流されたり、失敗したり、後悔したり。生きていれば誰だってあると思うけれど、生きて良かった、いい人生だったと思えるような生き方をしたいと思った。
なかなか重い作品で、身近ではない物語だったので自分の中で消化しきれなかったけれど、自分を見つめ直して良い人生を送りたいと思えたので少しは前向きになれたかな。
ロープが出てきたシーンは本当にしんどかった。描写はなかったけれど、その先を想像して恐ろしくなった。今思い出しても身震いしそうなくらい。そのシーンの前まではずっと対話のシーンでウトウトしてたのだけれど、眠気吹っ飛ぶくらい衝撃のようなものが走った。
大杉漣さんがこの映画に込めた想いや伝えたことを想像してレビューは書いたつもりです。
人は誰しも何かを抱えて生きている。どんな人にでも寄り添って、その人自身のことを少しでも知れたなら、何かが変わるかもしれない。
一度切りの人生だから、悔いを少しでも減らせるように、自分と向き合いながら人生を全うしていかなければと思います。
延長上映してくれてありがとうございます。
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