三角

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私への三角のレビュー・感想・評価

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桐島とかレディバードのような、主人公のことを過去の自分のように語る感想ばかり見かけていたので、そういう気持ちになるのかなと思っていたがパパ萌え映画じゃないですか。パパが可哀想なことしかわからん。パパ萌えっていうか完全に感情移入先父親だよこれ、父親にしかなれん。娘を案ずる気持ちしか出てこん、いやケイラのこともわかるんだけど、もうこの年だとむしろ父親の方の気持ちだよもはや。もしかしたら人生で俺が少女だったことって一度もなくてずっと父親に向かっていくしかなかったのかも知れんみたいなピーキーなことを思い始めたあたりで焚き火のシーンが来るので爆泣き…
あと一週間で中学を卒業するケイラは学年で一番無口。父子家庭で、母がどうしているのかは終盤まで明かされないがとにかく家に父親しかいないという環境で映画がつづく。なんだかんだゆうて少女の周りに男が数人ポップアップしてはセックスに至らず回避していく映画であるので父親目線に誘導されていた可能性はある。イケてる同級生はエロガキバカだしイケてる先輩もエロガキバカでこいつはマジで裁判で裁かれた方がいいんじゃないのくらいのことは思ってしまうのだけれど。君のためを思って言ったんだよじゃあないんだよ、死ね。そんなやつに謝らなくていいが未遂のレイプをちゃんと断れたケイラ偉いぞ!ちゃんと自分の身を守れて偉い。最後に未来の自分へ当てたメッセージでも彼氏ができたとしてちゃんと大事に"されて"ね、と発言しているあたり、性教育が行き届いている…と感じられた…現代のあらゆる通信手段が真っ先に性の売買に使われる現実についてどうお考えですか?
父性の語られなさ、役に立たなさ、存在しなさ、特に日本で共有されているクレしんのひろしみたいなイデオロギーのダメさ、かといってターミネーターで提唱されている機械になれ!というのもどうなの?みたいな。トイストーリーならまだわかるけど所詮オモチャじゃんアイツらみたいなことはありつつ。スパイダーマンなんてモロに日本的な父性からの退却だしさぁ!
みんなが思っている以上に我々は父性について真剣に考え続けなくてはならないと思うのですが…もはや日本に存在する少女に向けられる父性に最も近いものって同世代〜年上女性から発せられる心配と保護の気持ちしかないのかも知れん。母親不在のケイラに最も近いのは父であり、本来母と父に分散するはずの感情が全て父のもとにある。ケイラと同じく内向的な大人、親子は遺伝以上によく似た人間で、父との和解シーンは嫌いな自己との和解のようにも思えた。そこに父性と少女という最も遠いのでは?というような両者の一致が見えたのよ。
中学生ってまじでガキだな〜…と久々に思えてよかった。
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