優しいアロエ

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私への優しいアロエのレビュー・感想・評価

4.8
〈共鳴度数100%越えの水色の劇酒〉

 イタいイタいイタいイタい!とにかく、主人公の女の子が自分と重なってしまった。青春映画は共感した者勝ちだ。A24の青春映画ということで『レディ・バード』と比較しながら観ていたが、こちらの方が断然私に近い、というかこれは私であった。

本作の主人公ケイラは、『レディ・バード』の主人公よりももっと孤独で、悩みを打ち明けられない状況にいる。『レディ・バード』は、愚痴やジョークで悩みを吹き飛ばす主人公の無骨さにどこか距離感を覚えてしまった。本作の主人公のほうが自分の身の丈に合っていたし、大きな起伏のないストーリーが自分の学生生活と重なった。それにしてもあのプールパーティ... 一見キラキラしているが、あんなもん地獄である。

起伏がないぶん、本作は主人公が一人でいる時間をじっくりと映す。おしゃべりなレディ・バードもよかったが、こちらは自分が過去に抱いた気持ちを無口な主人公に自由に独白させることができ、彼女を通してやっと過去の自分を肯定することができた。

 終始親指を立てたくなる素晴らしい作品。オバマの目に狂いなし。
優しいアロエ

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