Penny

クレイジー・フォー・マウンテンのPennyのレビュー・感想・評価

3.8
これぞ、音楽×映像。
本作の音楽を担当するのは国際的名声をもつ作曲家リチャード・トネッティ率いるオーストラリア室内管弦楽団。
映像に登場するクレイジーな挑戦を単にロックでクールに描くのではなく、人はなぜ極限に挑むのかという根源的な問いをクラシック音楽が引き出す。奏でるクラシックは映像を、荘厳な映像は音楽を、より華麗に彩る。

冒頭から、断続的な山々の映像美。優美。
山はあまりにも偉大で、人はあまりにも矮小。人間が山を制覇することなんてありえないのだが、それでも山の誘いには贖えない。
何百年かそこら前には山を登ることなど正気の沙汰ではなかったはずだ。外界から山を望み、崇める。
その、かつて仰ぎ見ていた聖域は、いつしか舞台と姿を変え、パフォーマンスの場へ。限界点でこそ輝く狂人達を惹きつけてやまない山々の懐の深さと神秘性。だからといって、命を落とすことになっても自然は助けてくれない。
それでも好奇心は恐怖を上回り、探究心は崇拝を上回った。やがてそこに「前人未到」はなくなり、人々は「前代未聞」を求め彷徨う。
「なぜ山に登るのか」、生きることに必死でなくなった人類は、山に何を求めるーー