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セラヴィ!のsomaddesignのレビュー・感想・評価

セラヴィ!(2017年製作の映画)
5.0

てんやわんや

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30年間にわたり数多くの結婚式を手がけてきたベテラン・ウェディングプランナーのマックスは、ピエールとヘレナというカップルからの依頼で、17世紀の城を式場にした豪華絢爛な結婚式をプロデュースすることに。いつも通り、式を成功させるため入念な準備を整えて当日に臨むマックスだったが、アシタントはケンカばかり、ウェイターはシワシワなシャツに奇妙なヒゲ、旧友のカメラマンはつまみ食いしてばかり、鬱上がりの義弟は新婦を口説き始め、バンドはワンマンショー気取り。トラブル続出でマックスの努力は全て泡と消え、感動的になるはずの式は大惨事と化してしまう。

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歴史ある渋谷シネパレスは無くなっても、シネクイントが同じ場所で復活(о´∀`о)
寂しい気持ちと嬉しい気持ち混ぜこぜ鑑賞。


「最強のふたり」のエリック・トレダノ&オリビエ・ナカシュ監督再び。
「最強〜」と同様に物語の推進力たるトラブルメーカーが憎みきれない、思わず許せちゃうの不思議。落語の登場人物みたいな。人間の欠点や失敗に対する視点が優しい。

結婚式&二次会ってトラブル含めてお祭り騒ぎで楽しんじゃえ!って雰囲気だからかね。メデタごとだし。
『計画通りなことがベストではない』を具現化したような、結果オーライのドタバタコメディ。

マックスからしてベテランとは思えないほど短気な性格で、無理難題を突きつける若夫婦に思わずブチギレちゃったり、奥さんもいるけど職場に愛人も囲ってたり(しかもどちらも不仲気味)。登場人物たちがイチイチ不完全で問題があるのが前提の『人間』として描いてるのが愉快。

原題「Le sens de la fete」をGoogle先生に翻訳してもらったら「休日の意味」とな。
目先の事に忙殺されて、心の余裕をなくすことが元凶ってことかしら。ラストの休日に向かって散らばってく晴れやかな顔と顔が良かった。


そもそも解決とか正解を求めるのと逆ベクトルな話。「これでいいのだ!」と赤塚バカボニズム全開に全てを受け入れ、あるがままであろうとする潔さもまたこれカッコ良い。

それにしてもフランス映画は年齢性別のバイアス関係なく、恋愛にオープンな作風が多い気がする。60代・70代が主人公でも哀愁たっぷり老いらくの恋とせず、普通のこととして描いちゃう。特別な事じゃなくて人生の折々で落ちて然るべきことのような描き方。あらいいですね。



不満といえば、マックスが有能かつ聖人すぎてどんな難局にも解決策を見出すし、「おいこらそんな簡単に許すなよ」思うような不始末への対応もチラホラ。なんだか急に置いてけぼりにされた気分。

58本目
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