TaiRa

ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~のTaiRaのレビュー・感想・評価

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ホイットニーの人生を見つめる事がどういう事か、観る前からある程度覚悟はしていたがやはり辛い。

ホイットニー・ヒューストンに対する世間一般の認識って、悪い男と結婚したばっかりに悲惨な運命を歩んだ歌姫、みたいなものだと思うのだけど、この映画を観たらそんな単純な話でもないんだなと分かる。何だったら彼女の人生って夫ボビー・ブラウンと出会う前からかなり危うい。名声を得た彼女に寄生する家族たちの存在やホイットニーの親友の存在など、あらゆる面で既に問題が生まれてる。そもそもドラッグ常習は家族の影響だったりする訳で。そして、この映画で初めて明かされる彼女のある過去が、全ての問題の根本にあるのだと分かってくるのも衝撃的。全盛期を過ぎてボロボロになって行くホイットニーの姿は観ていてかなり辛い。特に晩年に行われた復帰ツアーの惨憺たる結果なんかは本当に残酷。彼女の最も輝かしい瞬間と最も悲惨な瞬間を平等に見せるのは映画として誠実。ドキュメンタリー映画としてのクオリティは非常に高く、編集や構成も良い。数々の証言やフッテージから再編された彼女の人生を多角的に見ていく。。親友ロビンは取材を断ったのか登場しないが、それも映画に大きな穴を生んで良い効果をもたらす。最後に少しばかりの幸福を見せるのがまた酷で、その後に訪れる結末を思うと悲しくなる。
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