Aya

ホワイト・ボイスのAyaのレビュー・感想・評価

ホワイト・ボイス(2018年製作の映画)
3.6
#twcn

イカれた社畜ファンタジー映画。2018年に北米で大ヒットした本作。

キャストがエグい。

メキメキ紳士!ラキース・スタンフィールド、綺麗なお姉さんアーミー・ハマー、わたしの!テッサ・トンプソン、みんな大好きテリー・クルーズそして、ウォーキング・デッドのスティーヴン・ユァン!!

なんで配信スルーした?!

ラキースって身長高いイメージあるのに(実際6ft=自販機と同じ)

主人公のカシアス・グリーン(ラキース)・・・名前な!
アーティストで看板回しが趣味のフィアンセのテッサ!(髪型もメイクも珍しくて可愛い!)とガレージで同性中。
布団を取り合うシーンが超可愛いのなんのって!

この2人って、プライベートでよ超仲良いんですけど、テッサってMBジョーダンとも仲良いじゃないですか?2人がキャッキャしてるのを見る時のラキースの目がいつもKOROSU!って感じなんです!!
(2018 MTV Awardsとかサイコーです!! https://www.youtube.com/watch?v=HudjI6hHoGw)

せっかく「ナイブズ・アウト」で直ってたのに、やっぱ猫背なのよ今作も!
自分に自信がない役が多いけど、まぁ、Lだしw

ちなみに家主は叔父さんのテリー・クルーズ!
ガレージの家賃も4ヶ月絶賛滞納中。

色々嘘つきまくった面接でそれも全部バレてたけど、なんとかテレマーケター(百科事典のテレフォンセールス)の仕事をゲット!

ボロ車ってか、明らかにインド系のタクシーの中古そのまんま使ってるwやつで出社するが、電話をかけようとしたら、そのお宅に机のまま落ちていって対面で話す想像の演出がおもしろい。

初めての仕事だから、イメージが具体的なのかな?

その想像をリアルにしてしまうラキースは全然電話がかけられない。
なんとかかけても所詮テレフォンセールスなのですぐ切られちゃう。

すると、隣の席のベテランのおっさんから「白人声(ホワイトボイス)」で話せ、とアドバイスを受け、それを実践することでどんどん成績上げる。
テッサも同じ職場で働き始める。
そして声はホワイトでも元々はブラック。
ハイ・ファイブがド下手w

この会社の「台本に従え」「電話しまくれ」「大胆に」「支え合いが大事」ボスからのお達しは精神論が主。

ラキースは今話題の集団シェルターハウス、ウォーリーフリーが気になってるんですね。
一つのベッドに2人、同じ服、毎日繰り返される同じ作業。
しかし仕事も食事も保証されている。
しかも終身雇用。

日本人ならそれ昔の憧れだよな、と思いがちだが、この映画の世界では終身雇用=奴隷制と見なされレフトアイという活動家グループに目の敵にされている。
いかにもアメリカらしい。
そしてこのレフトアイのメンバーは目の下に黒いシールを貼っている。
えっ?
デーゲームのバッター??

そして、そのウォーリーフリーのCEOがアミハマさんww
石油王だから、めっちゃ説得力あるし。
しかもコイツがとんでもないイカレ野郎。

物語は資本主義の景気も悪く仕事のないこの世で働くか、管理されているが安定したウォーリーフリーに入るか、という二極の緩い対立構造。

戦争だー!というようなテンションではなく、若者の頭の片隅に置かれている最後の手段といった抑えめの演出。

しかし、後半には別の問題が出てくる。

会社に入ったばかりのときに、パイセンのスティーブン・ユアンに低すぎる賃金の昇給要求のために組合を作ろう!と声をかけられる。
そして仲間を集め、ついにストライキを決行するが、ホワイトボイスのおかげで昇給間近のラキースは迷いが生じる。

当たり前なんですよね。
民主主義国家での組合や交渉、ストライキやデモって。
今の日本の状況だって、全然政府が我々国民が払った税金を使って保証、補填してくれないから(てか払った税金なんだからあげる、ではなく返せよ)危険でも働かなくては生きていけない。
働いててもどこもかしこも収益は激減。

もう嫌だ!!ってストライキを起こす中小企業などが出て当たり前。

そして、みんなでストライキを起こし!一度は上司どもをギャフンと言わすがそこはラキース。
お前は昇進するんだ、と目指していたが恐れていたことが起きる。
前から昇進しパワーコーラに行くことを夢見ていたが、なんとなく付き合いでストライキに参加しただけ。

元々は目指していたけど、ここまで来たら裏切り者じゃん!

少し迷ったが、ピンクのシャツでキメ、キングスマンよろしく複雑でお粗末なエレベーターで訪れた「上の階」パワーコーラ。
憧れの上流階級相手の仕事。

そこで売られていたのはなんと、軍事兵器や軍事力。
究極のセールスであり、国の利権に関わる商品であった。

そこは笑っちゃって思わず「ホワイトボイス」が出るほどの報酬。
夢もなく、まだ歳若いのに、老いて死ぬ未来を恐れていた彼は目の前に置かれた好条件を初めて目にし・・・。

そして大切なフィアンセ、テッサとは拗れる一方。レフトアイである彼女の元へ、ここぞとばかりに口説きに行くスティーブン・ユアン。

レフトアイとして活動を続けるテッサ。
パワーコーラとして稼げるようになったラキース。

お互い、政治に対する差異が生まれてしまう。
愛し合っているのに。
問題はそれぞれの心情がそれぞれの生活で違うという点。
一緒に過ごしたいのに、生活自体が違ってくると・・・彼女を取るか、仕事を取るか?

これ、実は上記したよくクソが言う簡単な問題じゃなくて、政治に関する相違なんですね。

彼女と一緒に今までの貧乏でも幸せだった生活(厳密には不安そうでしたけど?)をとるか、昇進により自分の力で得たパワーコーラの資本第一の仲間の波に飲まれ、同僚a.k.a友達が変わり、考え方すら変わったラキースが仕事を取るか・・・。

そして来たよ名言
「ビヨンセ夫妻も招待されないパーティーだ」

アミハマさんの金持ちパーチーはホワイトばかりで、ブラックのラキースに「銃を撃った話を聞かせろ」とか「ラップしろ」とかこいつら80年台のLAギャングで頭止まってんじゃねえの?感もギャグが効いてます。

ちなみにラキースのSitじゃないラップを聞きたい方は「ショート・ターム12」をぜひ!

劇中見せられるウォーリーフリーの真実のビデオ
by ミシェル・ランドリー

アラはあるが、新しい可能性を感じずにはいられない良作。
同じテンションでおかしな映画を撮って欲しい!!

こういうのを劇場で見たいが、いかにも配信落ちらしいブラックカルチャー&アメリカンユーモアな一作。

あと、アマプラは字幕の人の名前でないのめんどくさい。

Aya

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