kuzira

いつか輝いていた彼女はのkuziraのレビュー・感想・評価

いつか輝いていた彼女は(2018年製作の映画)
4.2
「お前に何がわかんだよ」
新宿の決して大きくないスクリーンに
心の中で振り絞るように吠えた

人として、見ないように。
見えないフリを通してきた、

心の中で必死にもがく人を盛大に馬鹿にして
"あんたもそう思ってんでしょ"って挑発されて
そんな姿が、醜くて、汚くて、淀んでて

もし、そうだったとして。だから何なんだよ
こっち見てくんなよ、って
悔しいくらい酷い晒され方した気分になるのに

なんでなんだろうか
何か足りない僕たちをずっと見てくる眼差しは
敵意ではなくて、どこか同じなような気がして
見透かされた苦さだけではない感情が
ぽつん、と。取り残された


スカウトでもない自薦でここまでやってきた
容姿にセンスはない、
どれだけ磨いてもそこでは勝てない

自分の事を面白がってくれる人は
この世界中の数名かはいるのかもしれない

でも目指す場所でいつか輝くには
数名だけじゃ輝けない、過去にもなれない

技術を磨くとか、人脈を増やすとか
他の人にはできない物を発掘するとか

時に、なんでこんな事までしてって
貪るように美しいとか面白いを引き当てようとして
前のめりな自分に自分自身が1番引いてる

みっともないと嘲笑ってる自分が自分を笑う

自分を労われるのはいつだって自分自身
自分が自分を守ってあげないと立てない

外部からの刺激でふいに傷つく怖さを知ってから
いつの間にか自分自身に敏感になって
その臆病さで自分以外の人を傷付ける

きっとそうやって傷付けてきたのは
自分の傍に居てくれた寄り添ってくれた人なのに
なんでそんな事、傷を負わせてから気付くのだろう

間違いばかりを繰り返して
答え合わせをする頃には周りに誰も居なくて

期待を裏切って、信頼を断ち切って
自分は可哀想だって思っているような苦い過去も

いつか時が経って、そんな日を思い出して
苦い経験すらも記憶としては輝きを放って
あの頃を思い返せるのだろうか

それすらも青春だなんて言える
未来の自分がいるのだとしたら

輝きを完全に失った
過去形として存在してしまうのだろうな
kuzira

kuzira