平野レミゼラブル

たまえのスーパーはらわたの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

たまえのスーパーはらわた(2018年製作の映画)
3.0
女子高生版『カメラを止めるな!』と聞いていたが正にそんな「カメとめ!」って感じな作品。

埼玉県協賛作品となっており、主人公の女子高生監督たまえちゃんが県の依頼で埼玉PRビデオを撮影するという内容。しかし浦和の鰻や岩槻の人形、盆栽町の盆栽と各地の代表者は自分のとこの名産アピールが強すぎ、またたまちゃんはというと好きなジャンルは血みどろスプラッタなのであらゆる意味で噛み合わず……といった感じ。

たまちゃんが各地のPRポイントを悉くスプラッタにアレンジしていくのが面白い。たまちゃんはカメ止めの真央の原型のような暴走機関車だが、暴走しまくったら上手くいったあちらと違ってこちらは暴走を反省して妥協を学び、その中でより良い作品にしていこうという点に好感を覚える。そのためはっちゃけ不足で案外無難なところに落ち着いてしまうが、女子高生の友情に尊さを感じたりする映画なのでこれでいいのだ。
まあ妥協したといっても、EDロールは大分はっちゃけていた方ではあるんだけれども。

そしてこの作品にも手塚漫画における「ヒゲオヤジ」のようなスターシステムとして「日暮監督」が存在している。そういえば日暮監督もヒゲオヤジなのは全作品共通だな……
気弱でどこか頼りないっていう共通点はやはり継承されているものの、本作の日暮監督は日暮監督史上最有能!どんな作品でも「良かったメモ」を取り、遥か年下のたまちゃんをもしっかりリスペクトする姿勢が大人として非常に格好良く感銘を受けてしまった。本作に漂う「良かった~!」って雰囲気を醸し出してくれる存在でした。

他のポイントとしては冒頭の自主制作映画の女子高生がいちいちカメラ目線になるよう目が泳いでるのが巧かったです。上田監督の奥様によるアニメーションも楽しい。
あとこれ本当どうでもいいんですけど、たまちゃんの友人の子が眼鏡っ子ですっごい玉ちゃんって感じの子だったので「あれ?たまちゃんってどっちだ…?」って混乱してしまっていた。