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21世紀の女の子のkoheiのレビュー・感想・評価

21世紀の女の子(2018年製作の映画)
4.0
「この映画が100年後には『伝説』に、1000年後に『神話』になることを願って」
そんなようなことを山戸結希監督が言う。

映画という総合芸術が誕生しておよそ100年。かつて、「神話」となり得た映画なんかあっただろうか。かろうじてそうかもしれないと思うのは、ちょうど同時期に再上映されることになった『2001年宇宙の旅』。21世紀のはじまりをその遥か前・1968年に描いてみせ、もはや2001年ですらないほど先進的だという。「猿が、なんやかんやでスターチャイルドになるまで」を描いた伝説の映画だ。1000年後には神話になっているかもしれない。

一方『21世紀の女の子』を見て感じた。これは22世紀のはじまりの映画だなって。22世紀にはみんながこの映画を見てる可能性、あるなって。果たして神話になり得るか、それほどのインパクトがあったのかはまだ判断ができないけど、こんなに大勢の新鋭監督が山戸監督の想いのもとに集って、その想いを伝えようとしたのだから、これが21世紀の女の子に届かないわけがないのだ。この熱い愛の物語はきっと誰かに届く。

さて、ちゃんと作品レビュー(公開前なんで深くは掘らないけど)。正直に言うと「おもしろい!」と思う作品はあんまりなかった。14本の8分短編映画+1本のアニメーション。共通テーマとして山戸監督が設定したのは「性の揺らぎを感じた瞬間」や「肯定」だったという。

テーマが重い上に8分という短さもあるのだろうけど、「笑い」のない映画が多すぎやしなかったか。張り詰めすぎじゃない?

だからそんななかで異彩を放っていたのは、山中瑶子『回転てん子とどりーむ母ちゃん』、枝優花『恋愛乾燥剤』、竹内里紗『Mirror』といった“緩急”がハッキリした作品。

ただ、山戸結希監督の『離ればなれの花々へ』が文句なしの傑作だったのは、8分間“緩”を入れず“急”で押し切ったからなんだよな。単純に彼女の映画は言葉が強すぎるし、カメラワークが美しすぎる。
張り詰めた映画群を、大きな愛で優しく包んでくれるようなクライマックスで、120分の1本の映画としては素晴らしいと思った。上に挙げた4人の監督を中心にこれからも注目していきたいな。

2020.4.25 再見
井樫彩監督の「君のシーツ」もおもしろかったな。視線と動きのみで語られていて。
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