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キッツ先生の子供たちのKUBOのレビュー・感想・評価

キッツ先生の子供たち(2016年製作の映画)
3.0
キッツ先生は、シリアなどからオランダへやってきた移民や難民の子供たちのクラスの先生。様々な国から来た子供たちは言葉もそれぞれ違い、オランダ語を教えるキッツ先生もひと苦労だ。

移民の子供たちという特殊な環境で、「シリアではいつもドカンドカンいっていて怖くて眠れなかった」など、それらしいインタビューも少しはあるが、そこに特化するわけではなく、どこの小学校でもあるような、地道な教育の記録がメインとなる。

机の正面にカメラは据えられているはずなんだが、全く気にする様子もなく、生き生きとした子供たちの様子をカメラは捉えている。

みんなバラバラな土地からやってきた子供たちは、お互いの距離感がわからずに、上手く友だちになれない子もいるけど、少しずつ少しずつ成長しちゃんと仲良しになっていく。

そこまで導くキッツ先生は、ちゃんと叱って、ちゃんと褒める。教育の基本ではあるが、どんな時にも冷静に、贔屓せずにこれを徹すのは結構たいへんなこと。

キッツ先生のクラスは十数人。このくらいの少人数じゃないと、個々を大事にした対応は難しい。日本は今でも40人学級。これが可能だったのは「右向け右」で子供が言うことを聞いた昭和前期まで。「個性を伸ばす」なんてことを期待するなら、それこそ欧米並みの20人以下の学級定員が必要です!

ただ、子供たちの様子を延々と追う113分は長い。私は職業柄、泣いたりケンカしたりする子供たちをわりと楽しんで見てましたが、やはり難民問題や教育問題に関心のある人向けであることは確かです。
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