回想シーンでご飯3杯いける

アパートメントの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

アパートメント(1996年製作の映画)
4.0
アパートの一室をめぐるトリックと、そこに込められた情念、煩悩を上手く描いたフランス映画。

主人公マックスは、レストランでかつての恋人、リザの声を聞く。リザは数年前にマックスの前から姿を消したのだった。あの時の未練を晴らすべく、マックスは、以前リザが住んでいたアパートを訪ねた。そこに現れたのは、同じくリザと名乗る全く別の女性。マックスは、新しく出会ったリザと恋に落ちていく。

"新しく出会った"リザの本名はアリス。彼女は、元々リザの向かいのアパートに住んでいて、当時から遠めにマックスを眺め、恋焦がれていたのだ。次第に明らかになって行くアリスの策略とは??

物語の象徴として映し出されるアパートと、3人の登場人物を中心にしたシンプルな構成。パリの美しい町並みと、ストーリーを裏付ける季節の移り変わりが彩りを加える。シンプルながら、気が付けばどっぷり映画の世界にはまってしまう、隠れた名作だ。

アパートの一室をキーワードにしたトリックという意味では、日本の映画「アヒルと鴨のコインロッカー」にも通じるかもしれない。