回想シーンでご飯3杯いける

チワワちゃんの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

チワワちゃん(2018年製作の映画)
3.8
その日、クラブで初めて見かけた怪しいおじさんから600万円を奪って、夜の東京を逃げ回るチワワちゃんの躍動感が素晴らしい。

後に東京湾でバラバラ死体として発見される女の子、チワワちゃんを囲む若者達の群像劇なのだが、これを「薄っぺらいからダメ」と感じるのか「この薄っぺらさこそ若さ」と感じるかで評価が分かれそう。僕は後者であり、説明的な台詞や泣かせる展開を全く入れてこない潔さがとても気持ち良かった。近年の親切丁寧な日本映画の中では評価され難いかもしれないけど、例えばNetflixオリジナルの青春映画辺りに馴染みのある人ならしっくり来るのではないだろうか。

日本離れした雰囲気を増幅しているのが、イギリスのペール・ウェーヴスを筆頭に、日本のFugenn & The White Elephants、Phab Com Masters等、多彩なアーティストによるエレクトロ/ロック系のダンサブルな音楽だ。ここに泣かせる歌詞の日本語曲を入れてこないのは大英断。

出演者の中では、浅野忠信が演じるモラハラ・カメラマンが怖かった。彼が登場する中盤で、映画の雰囲気が一気に引き締まる。凄い存在感。