RIO

チワワちゃんのRIOのレビュー・感想・評価

チワワちゃん(2018年製作の映画)
3.6
青春の始まりと終わり。

鮮やかで色彩豊かな映像表現とキャラクターそれぞれの視点での過去と現在を交錯する巧みな映像編集の中に、いつか終わってしまう青春の儚さが詰まってて、終始切なかった。

ライティングは本当に綺麗。
この技術で、照明賞を受賞できてないってことが不思議でたまりません。

音楽は、まあ良かったは良かったけど、
正直、Television Romance流しすぎだろってのは思った。
別にPale Waves好きだけど、さすがに3回はウザったい。

しかも中盤、みんながカメラの方に向けて一斉に踊りだしたのには、さすがに引いちゃいました笑

あそこだけミュージカル感満載な謎の違和感があって、正直寒いなって思ったし、カメラ側にいる人に向けて踊って決めポーズ決めてたなら話は分かるけど、多分そうじゃない。

映画的な演出だけの意味合いでやられても、映画っていうフィルターをのけて、自分自身がその世界観にいる人間だと思って考えた場合、
やってることリアリティのかけらもないし、おかしな話だよねっていう。

ミュージカル映画なら話は分かるけど、
こだわりの強い演出と映像表現を序盤で見せてたのに、なぜかあそこだけ寒い演出だったから、ただただ面白おかしかったです。

福士蒼汰の劣化版みたいな顔してるハラダくんの乱交シーンは、「時計じかけのオレンジ」のパロディだと思ってるんだけど、そうなのかな?

その乱交の途中でまたTelevision Romance流そうとしてたから、いや何回流すねん!って、ちょっとイラッとした。
あそこでチワワがまた踊りだしてたら、観るのやめてたかもしんない。
まあ、踊りだす直前でカットが切り替わったからよかったけど。

キャラクターは、正直、微妙なやつが多かった印象。
出てくるやつ大体パリピだから、共感しづらいのが当然なんだけど、チワワのことを探っていくなかで本性がどんどん明らかになっていくのは、自分に置き換えて考えると意外と接点があって、意外と共感できるようにつくられてる。

誰でも場所によって見せてる顔って違うから、それが丸裸にされていく様を上手く利用してた本作なら、もっと深く共感できるキャラクターを描けてたはずなのに、なぜか微妙。

チワワとナガイくんとカツオとミキは、非常に人間的で、嫉妬とか妬みとか複雑な感情が自分の中でぶつかり合う葛藤があったから、感情移入できたし、好きになれたけど、他のキャラクターがマジでつまんない。

ヨシダはクズってだけで何も魅力がないし、アキラはそもそもいてもいなくてもそんなに変わらないようなキャラだから、こいつ別に必要ないだろって思っちゃいました。

クマに関しては、もうシンプルに誰?
終盤で急に出てきたけど、特にストーリーに深く関わっていたわけでもなく、最後まで、誰なんだよこいつとしか思えませんでした。

村上虹郎の演技はずば抜けて良かったし、キャラクターも魅力があって好きになれたから、本当にもったいない。

脇役キャラを掘り下げる時間が無かったのなら、もうちょい人数減らしとけば、いい感じに収まったはずなのにな。

あ、言い忘れてたけどハラダくんはめちゃ良かったです。
センセイ君主でキモすぎるナルシストを演じてて、ずっと気になってたけど、今作でまた見れるとは。

あと、サカタとチワワの裸で愛を確認?するシーンがマジで意味不明でした。
シュールなコメディとして観ればいいのか、なんなのか、よく分かんない。

チワワが、いかにクズ男に引っかかるダメダメな見る目をしているかを伝えたかったのかな?
殺した犯人がサカタだったりしたら、もっと面白いなと思ったけど。

微妙な点はいくつかあるけど、二宮健の、綺麗な映像美と斬新な演出力を見るだけでも一見の価値はあるかと。

ここまで独特のスタイルをもってて、演出へのこだわりが上手く活かされてる邦画はなかなか無いから、新鮮な映画体験でした。

パリピ映画が苦手って人でも全然観れると思うので、青春映画だと思って観れば楽しるはずです。
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