史上、最も多くの亜流を生み出した映画は『エイリアン』(1979)かもしれません。
実際に『エイリアン』みたいな映画を撮りたいという熱にうなされた映画や映画人を多く見てきましたし、映画ファン、特にB級映画に関心がある人なら同意して頂けるのではないでしょーか。
でも、SFホラーにおいて『エイリアン』を超える筋書きやデザインは今後あらわれることがないだろう事は分かりきっています。『エイリアン』は後世への影響力の強さも含めて今もなお、金字塔として輝き続けています。
そんな中で偉大なる金字塔に少しでも近い映画を作ろうという【本気度の高さ】を感じさせるのが本作です。
映画の内容も一言で言い表せるほどシンプルで、まさに「深海のエイリアン」です。
予期せぬ「廃船」との遭遇。
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「廃船」から持ち帰った物から、危険生物が基地内に潜伏
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生物を火炎放射器で基地外に追い出すことを試みるも失敗
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基地を捨てての脱出
このように基本の展開は全く同じな上に、企業の策略や仲間の裏切りといった要素までなぞり書きしてみせるのです。ただ舞台が深海という違いなだけで。
でも『エイリアン』の完コピじゃ物足りないと思ったのか、付随要素として80年代のSF、アクション、ホラー作品の(パロディに近い)オマージュが詰め込まれているんですねぇ。
人間に寄生・同化する怪物という設定は『遊星からの物体X』だし、
ムカつく奴を最後にブン殴って溜飲を下げるのは『ダイ・ハード』だし(脚本家の1人が『ダイ・ハード』を書いたジェブ・スチュアート)
共同脚本は『ブレードランナー』のデビッド・ピープルズだし
監督が『ランボー 怒りの脱出』のジョージ・P・コストマスなせいか、現場を生贄にする上層部の悪徳な描き方が共通しているし
しかも『ランボー』シリーズのトラウトマン大佐こと、リチャード・クレンナが出ているし
主演は『ロボコップ』のピーター・ウェラー!
も〜80年代のSFアクションホラー好きには堪らないごちゃ混ぜ感ですね!
まぁ、映画としては後半の展開が急にドタバタしたり、怪物のデザインがちょいブサで魅力に欠けたりという点はありますが、先述の数々の要素から「豪華な亜流」として大いに楽しめます。
あとアマンダ・ペイズが美人で、目の保養。