「ジブリの遺伝子を受け継ぐ3つの短編アニメ」
スタジオジブリの出身のスタッフ達により作られたスタジオポノックの短編集。3つの短編でそれぞれ監督も違い、作品の雰囲気も違いつつ子ども向け矢印大人向けのグラデーションがあり良かった。
ジブリのアニメーションの雰囲気は幼少期から日本の国民には慣れ親しんでいるのできっといい脚本や作品に当たればきっと国民的アニメにもなりえるのだろうなぁとは感じます。まだ長編は「メアリと魔女の花」のみで現在「屋根裏のラジャー」が公開未定で製作中らしいので今後が楽しみではあります。
以下それぞれの短編に関して
①「カニーニとカニーノ」監督:米林宏昌
カニの兄妹を擬人化した川の底の物語。
ジブリ版「ファインディングニモ」なミクロな視点での自然世界の冒険譚。
カニの視点だからこその自然の大きさや恐怖は同監督の「借りぐらしのアリエッティ」にも通じるものがあります。川魚の恐怖感などあえてテイストを変えての不気味さなど際立ってました。
あえてセリフを名前のみにする事で身振りや表情だけで感情を表現するのも良かった。
②「サムライエッグ」監督:百瀬義行
食物アレルギーの小学生のお話。
なかなか珍しい着眼点で卵がアレルギーの少年とその家族の苦労を描いてます。他の子にとっては日常なのに彼にとってはこの1つの障壁により日常がまるでサスペンスのようにスリリングになる恐怖やそれに立ち向かう心境の変化が短時間で描かれていてなかなか良かった。
みんなと同じ給食が食べれない故のお母さんの毎日のお弁当だけでも他の子と同じように気を遣ったりという母の思いやりの描写で泣ける!お母さん役の尾野真千子がやはり達者でした。
いい着眼点のドラマでした。
③「透明人間」監督:山下明彦
3つの中ではもっとも大人向けのテイスト。
まるで透明人間のように存在感がないというのはしばしば比喩表現でつかわれますが、それを映像化したような作品。短尺ゆえなぜ透明かだったり、ただの比喩なのか?などは説明はないのですがその分色々考えさせられる余白がよきでした。
声優がまさかのオダギリジョーさんとは気づかず落ち着いた演技も素晴らしかった。
アニメならではのファンタジックだったり、躍動感ある表現もまた見どころありでした。
普通に海外の映画賞とかでも入賞しそうなクオリティなのにどうだったんでしょう。