ロアー

キャメロット・ガーデンの少女のロアーのレビュー・感想・評価

3.8
15年以上前に観た予告から、ずっと気になっていた私にとっての幻の作品。

何度かふと思い出して調べたのに見つからなくて、このネット時代にそんなことあるの?あれは夢だったの?と思っていたら、単に「スプリングガーデンの少女」とタイトルを勘違いしていただけだったと15年越しに判明しました。「少女と大人の男の人が友だちになる」というざっくりな内容まで覚えていたのに、肝心なところが間違っていてウケる。

冒頭からいきなり「サムロってこんなに二の腕の人だったっけ?」と腕から目が離せなくなったんだけど、つまりこれが若さというやつだった。およそ28~29歳頃の若サムロです。細いのにしっかり筋肉がついていて、何だかすごく好きな感じのバランス。 心のメモ =「サムロの全裸はハンサム」。

ポスト用の画像を探していたら、昔のレンタルビデオ店の写真が出てきて「橋の上の全裸シーンは少女たちが恥ずかしがるのが嬉しくて、わざとNG出しまくったそうです。変態です」という紹介ポップを貼られていて笑った。「唯一まともな役のサムロ」とか、このポップを書いた店員さんと私、好きの裏返しでdisる感じがとても似てるのでお友達になれそう。

件の全裸シーンは最初の方に出てきます。サービスシーンは勿体ぶって出してくるものと思ってた私は「もっと焦らしてもいいんだよ?」と思わず呟きました。結局、その後も全裸を観れるシーンがあったしぼかしもなかったし、少女から脱げとストリップを要求されるシーン(語弊)があったりと、サムロの裸に優しい映画でした。

全裸の話をしまくって完全に誤解を与える感想になってるけど、裸に優しいだけではなく、ホントいい映画だった。
富裕層のうわべだけの生活になじめないミーシャ・バートン演じる少女が、 貧しいだけで偏見や差別を受けているサムロの本質を見抜き、はみ出しもの同士で友だちになるという、切ないけどいい話。
2人が車の上で踊るシーンがすごく好き。

「芝生をもつものと、芝生を刈るものがいる」という印象的な台詞の通り、芝刈りでお金をもらっているサムロが金持ち連中に虐められる話なので、ついミーシャよりサムロの方こそか弱い少女のように見えてしまう。
このおじさんにサムロが家に連れ込まれちゃったらどうしよう?(「シャワー浴びたい」とか気軽に言っちゃダメ!)、いきなり同級生ヅラしてきたコイツ、ちょっとかばうようなことしてサムロに下心があるの?など、ハラハラし通しだったんですが、そういう話ではないし、むしろサムロを邪な目で観てるのお前だろう?って話です。でも自称同級生たちがずっとサムロを見張ってたのは何なの?どれだけ暇なの?

ミーシャ演じるデヴォンは、外見や服装こそ少女少女していて、サムロよりは控えめながら脱いだりもしているので、絶対その手の趣向の方には観て欲しくない感じの映画ではあったんですが、段々ダークな部分や子どもならではの残酷さも見えてきてよっぽどタフだと思ってしまったので、私の中での力関係はやっぱりサムロ<ミーシャでした。サムロも全裸になったりおしっこを撒いたりして、不満を少しずつ発散してやり返してたけどね(また語弊を生むキーワードが出てしまった)。

最後はミーシャのせいでサムロが大変な目にあった気がしなくもないけど、変えようのない現実に耐え切れなくなる寸前だったサムロをミーシャが救って解放してあげたようにも思えるので、やっぱりいいお話でした。
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