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エスケープ・ルームのJIZEのレビュー・感想・評価

エスケープ・ルーム(2017年製作の映画)
3.9
仲間の誕生日を祝うため集まった6人の男女たちが招待状をもとに出口のない館"エスケープルーム"で襲い掛かる未曾有の恐怖を描いたソリッドシチュエーション映画‼冒頭で前日譚が描かれた事で地続きに作品の世界観へすぐ呑めり込めた。主に理不尽系の作品で密室に閉じ込められた人間たちがその各部屋に仕組まれた難問を突破し生還を目指す。簡潔に云えば部屋を突破する謎解きそのものにはあまり主眼が置かれておらずあくまで人間たちの憎悪や崩れていく関係性など各キャラの内面が浮き彫りにされている。いわゆる不条理系のド定番で各ダンジョンの難所をクリアしても…という含みがルール無視で描かれすぎていたのは否めなかった。それこそ主人公のタイラーが自慢の知能で序盤こそ数々の点と線を結び付け難所をクリアしていく快感は音楽の高揚感とも併さり観てて気持ちがいい。はたまた仲間が減っていくお約束も遺憾無くシチュエーションの醍醐味が陰惨な描写を織り込み披露される。やはりゲームそのものの背景やなぜ選ばれたのが彼等彼女たちなのか…という基盤軸が頑丈に構築されてないため後半の理屈が排されたグラグラ感はかなり致命的である。ただパリピ集団が罠にはまり知能を超越する館の恐怖に呑まれていく目線では楽しみながら謎を解く軽い前半と間違えれば即殺される重い後半でかなり緩急がある。ラストももう何転か世界がひっくり返るくだりを期待してたのは事実だ。ジャンル映画の部類では包括的に堪能できる比較的にすきな作品であった。
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