Dick

人間の時間のDickのネタバレレビュー・内容・結末

人間の時間(2018年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

1. 初版2020.04.16

❶相性:消化不良。

➋キム・ギドクの監督作品は36歳の処女作の『鰐~ワニ~(1996)』から58歳の本作まで、日本で劇場公開された19作の全てを観ている(下記❿を参照)。
相性の良い、好きな監督であり、個人評点は100点から50点、加重平均値77点と高い。

➌さて、本作の出来は? 残念ながら同率最下位。

❹本作の原題の直訳は「人間、空間、時間、そして人間」。このタイトルに従って、4つの章に区分して描かれている。順序は正順なので分かり易い。

❺ジャンルは、ダーク・ファンタジー或はディストピアの寓話。
①退役した軍艦を改造したクルーズ船で、1週間ほどの旅に出る。クルーズ船と言っても乗客、乗員合わせても数十人の小規模である。
②主な登場人物は、
ⓐ主人公となる日本人の新妻イヴ(藤井美菜★日韓を股にかけて活動する女優)、
ⓑその夫で日本人のタカシ(オダギリジョー★ゲスト出演程度で直ぐ殺されてしまう)、
ⓒ次期大統領候補の議員(イ・ソンジェ)、
ⓓ議員の息子アダム(チャン・グンソク)、
ⓔ議員の警護役のギャングのボス(リュ・スンボム★『The NET 網に囚われた男』で主役)、
ⓕ謎の老人(アン・ソンギ★韓国を代表する名優)、
ⓖその他大勢として、韓国人の娼婦たち、
ⓗそして、船長(ソン・ギユン)以下のクルー。
③乗客たちは初めは珍しい船内をあちこち探検し、アルコールやドラッグを含む飲食を楽しんでいたが、議員一行だけが部屋も食事も特別待遇であることに他の乗客が気付き、不満が高まる。
④それがやがてレイプ、暴行、暴動へと発展していく。
⑤ある日、船が突然異次元空間にタイムスリップして、空中に浮かんだまま、戻れなくなってしまう。
まさに「空飛ぶ幽霊船」である(笑)。
⑥暴動は殺し合いとなり、身籠ったイヴとアダムと老人の3人だけが生き残る。その後、アダムと老人も死んでしまい、イヴ一人になる。
⑦数年後、イヴと息子は老人が育ていた植物を成長させて食いつないで生存していた。
⑧さらに数年後、息子はイヴに性欲をもよおす・・・・。

❻生き残るのが、「イヴとアダム」であることから、旧約聖書の『創世記』や、ジョン・ミルトンの『失楽園』、そして「ノアの方舟」がモチーフになっていて、それ等に人間の「食欲」、「性欲」、「生存欲」等をミックスしたギドクワールドを描いたもののようだが、消化不良に終わった。

❼論理的に考えると、あまりにも矛盾と疑問が多すぎる。例えば生存に一番必要な水の問題等。
かと言って、感覚的に見ると、キャラが単純化され過ぎていて、一本調子で、説得力に欠ける。

❽他に、例えば、日本人と韓国人が夫々自国語で話しているのに難なく理解出来る等の不思議(笑)はあるが、これ等は許せる。

❾これがギドクの未来の世界観だとすれば、悲しいと思う。


❿トリビア:キム・ギドク監督作品

(1)劇場公開作品全19本とマイレビュー

①『鰐~ワニ~』(1996) 2007/05鑑賞:50点
②『魚と寝る女』(2000) 2001/10鑑賞:80点
③『受取人不明』(2001) 2005/05鑑賞:80点
④『悪い男』(2001)2004/05 鑑賞:80点
⑤『コースト・ガード』 (2001) 2005/05鑑賞:80点
⑥『春夏秋冬そして春』(2003)2004/11 鑑賞:80点
⑦『サマリア』(2004) 鑑賞:2005/05鑑賞:80点
⑧『うつせみ』(2004) 2006/05鑑賞:80点
⑨『弓』(2005) 2006/09鑑賞:60点
⑩『絶対の愛』(2006) 2007/05鑑賞:80点
⑪『ブレス』(2007) 2008/07鑑賞:60点
⑫『悲夢(ヒム)』(2008) 2009/02鑑賞:80点
⑬『アリラン』(2011) 2012/04鑑賞:70点
⑭『嘆きのピエタ』(2012) 2013/07鑑賞:98点
⑮『メビウス』(2013) 2014/12鑑賞:80点
⑯『殺されたミンジュ』(2014)2016/03鑑賞:95点
⑰『The NET 網に囚われた男』(2016)2017/03鑑賞:100点
⑱『STOP』(2015)2017/06鑑賞:50点
⑲『人間の時間』(2086)2020/04鑑賞:50点

(2)劇場未公開作品6本

①『ワイルド・アニマル』(1997) 鑑賞:未公開
②『悪い女』(1998) 未公開
③『リアル・フィクション』(2000) 未公開
④『アーメン』(2011)未公開
⑤『Din』(2019) 未公開
⑥『Izzy Got the Frizzies』(2019) 未公開


2. 追記2020.05.05

❶賞:
①Strasbourg European Fantastic Film Festival 2018(仏):ノミネート:Best International Feature Film
(Ki-duk Kim)

➋評価:
①Rotten Tomatoes:5件のレビューで、批評家支持率は20%、加重平均値は採点なし。
②IMDb:513件のレビューで加重平均値は5.6/10。
★海外の評価は上記の通りで、理解されにくいようである。